2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520593
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
清水 克正 名古屋学院大学, 外国語学部, 教授 (10083792)
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Keywords | 国際共通語としての英語 / 韓国語 / タイ語 / 中国語(北京語) / VOT(声帯振動の開始時間) / 知覚上の近似性 |
Research Abstract |
本研究は、国際共通語としての英語の音声的特徴の解明に関するものであり、平成22年度において、日本語、韓国語、中国語(北京語)およびタイ語を母語とする英語学習者の音声データを集め、音響分析を行い、その結果について中間報告を行った。日本語話者についての資料は、今までの研究への追加であり、新たに韓国語、タイ語および中国語を母語とする英語発音のデータを集めた。それぞれの言語話者について、音声分析用の言語資料を作成し、日本人4名、韓国人7名、中国人4名およびタイ人4名の録音を行った。さらに、英語音声の聴き取りについては、日本人学習者48名に対し行った。音声資料の作成および分析はAcousticCore8で行い、主にVOT(Voice onset time、声帯振動の開始時間),基本周波数およびそのパターンを測定し、得られたデータを解析し、中間報告を行った。報告は、日本音響学会音声研究会11月例会、13^<th>ASSTA国際会議(Australasian Int'l.Conference on Speech Science and Tech.)およびJACET中部支部2月研究会で行った。これらのデータの分析より、それぞれの言語の話者は、国際共通語である英語の閉鎖子音を発音する場合、それぞれの言語のVOTの近似性を基準に発音しており、韓国人の場合は英語有声音に対して濃音を、英語無声音に対して激音で発音し、タイ人はそれぞれ自国語における有声音および無声出気音でもって発音していることが明らかになった。これらの現象は、外国語音声学習の理論的な観点からみると、各言語の話者は知覚的に近似していると考えられる自国語の音声でもって発音する傾向があり、知覚上の類似性に関与する音響的特徴は、閉鎖子音については、VOTが機能していると考えることができる。
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