2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520593
|
Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
清水 克正 名古屋学院大学, 外国語学部, 教授 (10083792)
|
Keywords | 国際共通語 / 英語 / アジア諸言語 / 閉鎖子音 / 音声分析 / VOT(Voice Onset Time) |
Research Abstract |
平成23年度は、本研究計画の丁度中間の年であり、昨年度から収集しているデータの補充を行うと共に、中間データとして得られた結果を国内外の学会で発表し、研究内容の充実に努めた。具体的には、アジア諸言語、特に韓国語、タイ語および中国語の被験者数を増やすため、名古屋学院大学および大阪大学への留学生を対象にデータ収集を行い、音声分析を行った。被験者数は、韓国語12名、タイ語15名および中国語3名であり、中国語を除き、ほぼ必要な被験者を集めることができた。これらの音声データについて、音声分析を行い、国際共通語としての英語の音声的特徴、特に各言語における閉鎖子音の特徴について、母語(L1)および外国語(L2)として学習した場合の英語の音声的特徴を明らかにし、それぞれの言語とL2としての英語の音声的特徴について考察した。これらの考察の結果、諸言語の英語学習者は、母語(L1)と外国語(L2)の間で音響的に類似している音声がある場合、L2学習者はそれに近似するL1音を使用する。また、L1にL2に対応する範疇がない場合、例えばタイ語には有声軟口蓋閉鎖音が欠如しているが、L2学習者は新たなVOT(Vbice Onset Time,声帯振動の開始時間)の時間尺度の範疇を設定する、などが明らかになった。こうした分析結果を踏まえ、国際共通語としての英語の音声的特徴、特に閉鎖子音の特徴についての解明とともに、L2の音声学習理論の確立をはかるため、国内外の学会において研究発表をおこなった。これらには、米国University of Illinoisで開催されたSpeech Production Workshop、Int'l.Congress of Phonetic Sciencesの第17回国際大会、日本言語学会第143回大会、およびCity University of New YorkでのPhonology Forumで行い、関係する研究者と意見の交換を行うことができた。さらに、平成23年7月には第二言語習得の専門家である遊佐典昭氏(宮城学院女子大学教授)を名古屋学院大学に招き、講演会の開催ととともに第二言語習得に関わる問題点および共通語としての英語の理解性について協議を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国際共通語としての英語の音声的特徴の解明を進めるため、発話面の音声分析は当初の予定通り進んでいるが、一部の被験者でのデータの収集が不十分であり、また諸言語の話者が多様な英語の聴き取りを如何に行うかについては、聴取実験のデータが不十分であり、さらに理解力および聴解力の解明が殆ど進んでいない。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、本研究の最終年であり、前年度までの研究の遅れを取り戻し、音声分析と聴解力の解明を進め、最終報告書の作成に取りかかる予定である。また、国内外の学会で今までのまとめとしての研究成果を公表する予定である。
|