2011 Fiscal Year Annual Research Report
学習意欲を高めるアラビア語教育―コミュニカティブ・グラマーの提唱―
Project/Area Number |
22520599
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
鷲見 朗子 京都ノートルダム女子大学, 人間文化学部, 教授 (20340466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲見 克典 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (70242906)
依田 純和 大阪大学, 学内共同利用施設等, 助教 (80423218)
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Keywords | 教育学 / 外国語 / アラビア語 / 教授法 / 学習理論 |
Research Abstract |
学習者要因の調査においては、学習者要因の尺度の整理と再検討を行った上で作成した尺度をもって、平成23年12月から平成24年2月にかけて、日本の大学のアラビア語専攻と非専攻を含めたアラビア語科目受講生約300名に対して質問紙調査を実施した。またこれまで行った調査のなかで、特に非アラビア語専攻学生に焦点をしぼって、次の3点において結果の分析を行った。(1)習得を希望する9要素のスキル・知識、(2)授業で重視されている(1)と同じ9要素のスキル・知識、(3)(1)と(2)の関係である。現在の分析から明らかになっている結果はたとえば次の通りである。強い習得希望が示される要素と弱い習得希望が示される要素があった。習得希望が示された要素のなかには、授業で重視されていると学生が感じている要素と感じていない要素が認められた。また、習得希望が示された要素と授業で重視されている要素には不一致が認められたほか、これらの2つの要素の間には統計的に有意な関連をもつ変数がみられた. 指導理念の検証においては、コミュニカティブ・アプローチに関する文献と教材の収集および分析を行った。また22年度からの繰り越しとなっていた、アメリカからアラビア語教育関係者を日本に招いての、コミュニカティブなティーチングに関する講演会を実施し、日本のアラビア語教育者らとの意見交換の場を持つ貴重な機会となった。さいごに、本年度は研究代表者がモロッコに赴き、外国語としてのアラビア語教育機関を訪問した。フェスではアラビア語研究所、ラバトではカラム・アラビア語言語センターにおいて実際の授業を視察し、それぞれの機関のアラビア語教師からアラビア語ティーチングの方法論や使用テキストについての有益な意見や情報を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は、学習者要因を調査するとともにアラビア語の指導理念コミュニカティブ・グラマーを推進することである。学習者要因を調べる質問紙調査は、これまでの年度に実施し、各年度200~300名の協力者を得て、現在はデータ分析を行い、学会等でその成果を少しずつ発表している。指導理念については、アラブ・欧米諸国で用いられている授業法の観察や各地域のアラビア語教師との学習者の意欲を高める方法についての意見交換にくわえて、資料収集を行っており、それらの分析とまとめに着手している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の研究機関は4年間であり、残りの2年間弱を次のように進めたいと考えている。まず、学習者要因の調査では、必要なサンプル数は集まりつつあるので、それらの分析と考察を深めていく。特に、動機づけと態度についての側面の分析を行っていきたい。コミュニカティブ・グラマーに関しては、これまでに収集した資料やアラビア語教育専門家の見解をまとめ、具体的な方法論を模索することで、それらをどのように日本のアラビア語教育に生かしていけるかを検討していく。また、アラブの国におけるコミュニカティブ・アプローチを用いた実際の授業を分析することも視野に入れている。学習者要因の調査結果と指導理念コミュニカティブ・グラマーについての調査結果を照合しながら、直接的あるいは間接的に相互の考察に生かしていきたい。
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Research Products
(6 results)