2011 Fiscal Year Annual Research Report
ピア・ラーニングを利用した英語ライティング活動―言語への気づきと模範文の役割―
Project/Area Number |
22520602
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
阿部 真 獨協大学, 外国語学部, 特任講師 (70553626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山西 博之 関西外国語大学, 外国語学部, 講師 (30452684)
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Keywords | 第二言語習得 / ライティング / ピア・ラーニング |
Research Abstract |
平成23年度は前年度のパイロットスタディの質的分析から得られた、ペア作文活動を把握するための12のカテゴリーを基に4件法による10個の質問項目と3個の自由記述からなる質問紙を作成し、研究代表者、研究分担者の勤務校で別々の実践の中で実施された。 最初の実践においては、ライティングとリーディングの統合型のクラスにおいて、学生はペアを作り、2人で協力して作文を書き、活動後、質問紙に回答した。質問項目の評定値の平均値の比較から、「ペアによる作文段階」「ペアによる見直し段階」「単独での書き直し段階」の3つの段階で、ライティングの「語彙」「形式」「内容」を3つの側面に関する意識の高まりに差があったことが確認された。一例を挙げれば、ペアで作文を書いているときは語彙に、ペアで模範文を見ながら見直しをしているときは内容に意識が高まることが分かった。また、自由記述の分析をKJ法で分析し、「ペアによる作文段階」を構成する協働の様相は「パートナーと協力する」「パートナーから補助を受ける(パートナーを補助する)」「パートナーとの相違に着目する」という3つに大きく分かれることがわかった。 2つ目の実践においては、同様のペア作文活動の後、作文中の協働の様相(「協力」「補助」「相違」の3観点)に関する自由記述を求める質問紙(自由記述3項目)を実施した。自由記述の量的分析は実践2の結果を裏付け、語彙や形式など言語面に関しては、ペア同士の補助、すなわち知識の伝達がおこなわれたが、内容面に関してはむしろ協力、すなわち知識の協構築がおこなわれることが多いなど、新たな傾向が明らかになった。同データの質的分析から、特に新しいカテゴリーが表出されなかったこと、すなわち飽和状態に近づいていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたよりも1回多くの実践・データ収集ができたため、より詳細な結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
ピア・ラーニングを英語ライティング活動に導入し、その際段階別に何に気づくか、見直し段階の模範文がどのような役割を担うのかについては一定の結論と教育的示唆を得たため、今後は書かれた作文(プロダクト)の分析に焦点を当て、どのように書いたか(プロセス)との関連を含めて研究する。
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