2010 Fiscal Year Annual Research Report
新しい文法教育のためのリアル・タイムと場面の制約にある言語形式の基礎的研究
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22520614
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
澤田 茂保 金沢大学, 外国語教育研究センター, 教授 (00196320)
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Keywords | 英語学 / spoken language / Written languagae / be like引用形 / go引用形 |
Research Abstract |
平成22年度の研究計画は、real-timeと「場面」を持った言語素材を対象に次年度以降の分析のためのデータを収集することであったが、その作業プロセスの中で気がついたspoken languageの特徴で、言語学的に興味深い事象について学会発表を行い、また、雑誌に別個の内容を扱った論文を著した。 written languageでは決して現れないが、spoken languageになると出現する言語形式がある。学会発表では、インタビュー等で現れる"That is […X…] is that[…Y…]"の形式に注目して、それが出現する発話分脈について考察した。母語話者は音声として「聞くだけ」では、この破格的構造に気づくことはなく、当初は単なる誤りの形式であると思った。しかし、素材データを詳しく見ると、繰り返し現れるパターン(recurrent pattem)であり、何らかの意味があることが推測されたので、共通する談話分脈を考察した。これはreal-timeの言語産出のプロセスの好例と思うが、spoken languageについて、このよう准構造的な観点を加えた先行研究を見いだすことができなかった。 また、雑誌論文では、sayやtellなどを使用する一般的な直接引用形に加えて、話し言葉でしか発生しない特殊な引用形、"be like引用"や"go引用"の分析を行った。この形式もインタビューなどのreal-timeの発話で頻出するにもかかわらず、書き言葉では推敲によって消えてしまう。この言語事象には先行研究がアメリカに比較的多く、主として社会言語学での言語変化の事例として扱われていたが、直接引用の一般的形式との比較して、この形式が使用されるときの使用者の心理について、学習者の視点から考察を加えた。 平成22年度は、主としてラジオ・ドラマ(約10時間)とインタビュー(約20時間)のspoken languageのデータ収集を実施した。当初の計画では、インタビューではなく、英語スポーツ放送のデータを予定していたが、録音機を購入したが、放送時間が不安定で、有効なデータを収集するに至らなかった。このデータの収集については、次年度以降の課題とする。
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