2012 Fiscal Year Annual Research Report
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22520616
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山下 淳子 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (00220335)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 読解力 / 外国語 / 構成要素 / 文法力 / 語彙力 / 単語認知 / 聴解力 / 母語 |
Research Abstract |
第二言語読解力の個人差を説明する構成技能を発達的に観察読みの習得理論と教育への示唆を得ることを目的とした本研究課題の3年目は、大学生を対象とする部分では、日本語を母語とする大学生の英語読解力と単語認知の3つの構成要素の関係を調べた研究成果を論文にし、審査の結果受理された(2013年4月出版)。また(大学生に限ったわけではないが)第二言語の読解力と10の構成要素の関係を調べたメタ分析の結果を論文にまとめて投稿した。2013年4月現在審査の最終段階まできている。 次に、中高生を対象にする部分では、昨年度から検討課題であった日本語の読解力を変数に含めることを決め、データ収集についても、協力校の国語の時間に実施してもらえることが決まった。昨年度に続いてさらに8回の予備調査を行い、英語の語彙・読解・聴解・文法、日本語の読解の5つのテスト、学習背景を知るためのアンケート、単語認知力測定のための言語刺激とそれを提示し反応時間を記録するプログラム(HSP使用)など、この研究課題に含むすべての変数を測定するテストバッテリーを完成させた。協力校へ正式な研究依頼書を提出して受理され、2013年3月に2週間かけて本調査を行った。対象となったのは予定通り、協力校の中3・高1・高2の3学年合計約310名である(学年ごとの人数は、最大数にしておよそ80, 120, 120)。英語聴解力テストとコンピュータを使った単語認知課題は協力校のコンピュータラボを使用して調査者とその補助者が行い、その他の紙のテストは協力校の教師が期末試験後の授業時間に適時組み込む形で行った。マークシートと記述式の解答方法を採用したが、マークシートの機械による読み込み採点の初期段階は、本年度中に終わらせることができた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に書いた通り、2012年5月にEuropean Association for Language Testing and Assessmentのワークショップに参加し、テスト分析の手法について学んだ。また、第二言語の読解力に対するコンポーネントスキルアプローチの枠組みの中で、10の構成要素の相対的重要性を相関係数のメタ分析によって検討した研究成果をまとめることができたのは、予想外の進展であった。加えて、合計10回を超える予備調査の結果に基づき、予定通りすべてのテストの作成を終え、年度末に第1回目のデータ収集を終えることができた。達成できなかったことは、大学生を対象とした多変量解析に基づく研究成果を論文にまでまとめられなかったことであり、それは今年度の課題の1つになる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の計画は、中高生を対象として2014年3月に第2回目のデータ収集をすることである。協力校の新中3、新高1が対象になる予定である。これは横断的データのデータ数を増やすことと、縦断的データを一部取ることが目的である。データ数としては、2回目のデータ収集後に、横断的データが最大数で中3が160, 高1が160になる予定である。縦断的データとしては中3から高1にかけての2年間の発達データが得られる予定である(最大数80名であるが、欠損値がでることは容易に想像がつく)。縦断的データの2年目のテスト作成をするのが、今年度の最重要課題である。1回目のデータに基づいて各テストの分析をした後、係留項目を残して新しいテストを作る。そのための予備調査を2013年12月までに終了させる。また上に書いたように、大学生を対象とした多変量解析に基づく研究成果を論文にすることも課題の1つである。
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Research Products
(3 results)