2011 Fiscal Year Annual Research Report
言語間におけるライティング能力の双向性モデル:その応用と説明力
Project/Area Number |
22520622
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
RINNERT Carol 広島市立大学, 国際学部, 教授 (20195390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 ひろ江 広島大学, 総合科学研究科, 名誉教授 (50205481)
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Keywords | 議論文 / ライティングプロセス / テキスト特徴 / マルティコンピテンス / L2ライティング / L3ライティング / 転移 / ライティング能力 |
Research Abstract |
23年度は主に二つの点に絞って分析を行った。一つは、4名の多言語学習者(カナダ人1名、中国人2名、日本人1名)が日本語、英語、中国語の3言語で作成したL1,L2,L3のテキストを分析し、その特徴を明らかにした。特に、日本人言語学習者については2年間半にわって観察、インタビュー等も行い、このデータも分析した。これらの分析結果を二つの国際学会で発表したが、主な結果は(1)同じテキストの特徴(例、主張を理由によって支持するjustificationタイプの使用、introductionの書き方、パラグラフの構成)はどの言語のテキストにも共通して見られたが、一方、言語に特有な特徴も観察された,(2)テキストの特徴の選択には英語のライティング教育や経験が大きく関わっているが、個人的要因(態度、言語能力、ライティングの捉え方)および社会的要因(読み手、コンテキスト)の影響も大きい。二つ目の分析は、日本人多言語学習者4名から収集したthink-aloud-protocolsデータの分析である。フランス語、スペイン語、韓国語、英語、日本語によるライティングプロセスをマイクロレベルで分析するために、まず8つの分類カテゴリー(例、planning,rehearsing,word-or grammar-searching,repairing,evaluating)を特定し、被験者にインタビューしながらプロセスをカテゴリー化した。現在までの主な分析結果は、(1)どの多言語学習者も、L2またはL3で作文する時、母語であるL1を主に内容のプランニングや評価及びプロセスをコントロールする目的のために頻繁に使うが、(2)英語力の高い学習者の場合は英語(L2)をL3の作文に頻繁に使う傾向が見られた。結論として、書き手は、言語の違いに関わらず同じようなプロセスで書く傾向があるが、そのプロセスも、テキストの特徴の選択と同様に、書き手のL2,L3の言語能力と大いに関係していることが分かった。作文構築プロセスデータは更に精査する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
think-aloud protocolsのデータ収集に多大な時間がかかるが、日本人多言語学習者2名から、フランス語、韓国語、英語のエッセイとライティングプロセスのデータを収集し、文字化した。(リサーチに適切な韓国人学習者が見つからなかったため韓国人からのデータ収集は次年度に持ち越すこととした)。さらに、データ分析を行うためにカテゴリーを確立し、詳細な分析を行った。テキスト分析については、日本人、カナダ人、中国人学生の3カ国語によるエッセイを分析し、その結果を二つの国際学会で発表した。さらにケーススタディとして2年間半観察してきた日本人多言語学習者についての論文をまとめ、学術誌に投稿している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の計画に沿って、研究者/英語教師を対象にインタビューデータを収集する予定である。過去のリサーチ参加者が中心になるが、新規に比較的研究期間が短い研究者も含めたいと考えている。一方、今年度は最後の研究年度になるので、前年度収集できなかった韓国人学習者からのテキストデータ収集やケーススタディ対象の日本人多言語学習者のフォローアップインタビューも行いたい。後者の場合、オーストラリアの大学院で経験を踏まえ、3カ国(英語、中国語、日本語)でのライティングの維持とアカデミックライティングにおける読み手の期待感についてインタビューし、上記の日本人研究者との比較も行いたいと考える。(この学生は現在オーストラアリアに滞在中であるため、学会での発表を兼ねてオーストラリアにてインタビューを行う計画である)。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] (1)L1/L2/L3 writing development : Longitudinal case study of a Japanese multicompetent writer (2)L1/L2/L3 text construction by multicompetent writers in Chinese, English, and Japanese2011
Author(s)
Kobayashi, Hiroe, Rinnert, Carol, Rinnert, Carol, Kobayashi, Hiroe
Organizer
(1)Symposium on Second Language Writing (2)Association of International Applied Linguistics World Congress
Place of Presentation
台湾国立教育大学北京外国語大学
Year and Date
20110611,20110824
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