2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22520631
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
鈴木 広子 東海大学, 教育研究所, 教授 (50191789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PETER Collins 東海大学, 教育研究所, 准教授 (10307241)
GARY Fine 東海大学, 教育研究所, 准教授 (70515022)
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Keywords | 英語教育一般 / ドラマ教育 / 人間教育 / identity / コミュニケーション能力 / 状況論 |
Research Abstract |
本研究は、ドラマ・パフォーマンスを教育ツールとした実践が、学習者の英語、学びの質、学びへの姿勢がどのように変化するかを分析する。その結果、活動の道具として英語を使う教育の意味、コミュニケーション能力の概念、評価の視点を可視化し、人間教育(Lave&Wenger,1999)をめざす英語教育の教育モデルを構築することが目標である。 今年度は、ドラマ・パフォーマンス・プロジェクトにおける学習者のプロトコル分析を行い、社会文化的アプローチから、人が活動に参加し、道具を媒介として他者と関わり合うことを通して学びがおこる過程を描き出した。さらに、プロジェクトが提供した多様な活動を通して、媒介する言語が学習者にとってどのような意味をもつのかを質的研究によって考察した。その結果、対話によって媒介する言語から、学習者がより深く多くの意味解釈をしていく、いわば学習者の理解の進化がみられた。学習者が産出する英語を、言語の「習得」ではなく「獲得・収奪」へと視点をシフトして分析し、学習者が覚える英語のセリフが登場人物としての自分のことばに変わっていく過程を、英語・コミュニヶーション能力の伸長という観点から明らかにした。その結果を国際学会および大学紀要に発表した(業績参照)。 また、実践面では、4月にアメリカ合衆国のニューヨーク市のドラマ教育の視察によって得られた資料を整理して、新しい視点でのドラマ・パフォーマンスのプログラムを設計した。設計したこれらの複数の案を、教育改革の対象校(東海大学付属第五高校)に提供し、彼らが設定したプロジェクトおよび地域の人々を対象とした教育イベント応用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ドラマ・プロジェクトの設計および実践を通して収集したデータを使って、当初の課題通り、学習者の言語の収奪および言語の質の進化の過程を考察し、論文にまとめることができた。また、2012年3月末から4月にかけて視察したニューヨークのドラマ・プロジェクトを分析し、その応用として、本研究独自のプロジェクト設計を行い、中等教育の改革事業に提供することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
・学習者の収奪,「自分のことば」として英語表現力の確立をめざす教育をしていくために、実用的なドラマ・プロジェクトの設計、および教員が納得できるような実証研究の成果を明示する必要がある。 ・学習者のライティング・スピーキングなどの評価方法を提示することにより、従来の言語知識の習熟度とはことなる言語・コミュニケーション能力のレベルを可視化することも、今後の課題である。 ・複数の国際学会で口頭発表をした際、とくにアジア諸国の研究者から、研究資料、教材などを求められたので、最終年度は、論文、教材制作に力を注ぎたい。
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Research Products
(5 results)