2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタ認知促進のための学習支援法の開発と実践的活用に関する統合的研究
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22520632
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
大崎 さつき 創価大学, 文学部, 准教授 (70546366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 成代 創価大学, ワールドランゲージセンター, 講師 (40460092)
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Keywords | メタ認知 / 自律研究 / 動機づけ研究 |
Research Abstract |
前年度(平成22年度)の研究において、日本人学習者が自律的に英文を読解する際のメタ認知的活動を明らかにするために、読解時の辞書検索行動に使用されている方略を観察・分析し、その結果に基づき課題遂行におけるメタ認知的活動をモデル化(図式化)した。今年度は、そのモデルを基に、メタ認知向上のための訓練方法として、辞書を使用しながら自律して読解を進めるためのチェックリストを開発した。また、前年度は、メタ認知促進のためのひとつの方法として「ディクトグロス」という学習活動を中心に研究を進めた。その結果、文章復元作業の段階で、グループ作業時には学習者たちの言語問題(文法・語彙)などに関しての対話が多くおこり、これが学習者のメタ言語能力の育成に役立つのではないかという見通しを得た。また、学習者がディクトグロス後に自分の学習活動を省察シートに記入することにより、深い省察が行われることも観察された。この結果を受けて、今年度は、文章復元という作業を成功させるためには教員の支援が必要であることから教員からの学習支援法の開発に取り組んだ。メタ認知能力向上のための授業での具体的な学習法を、ディクトグロス活動を通して明確にし、さらに学習者が達成感を得られるように「足場作り」(scaffolding)を強化した。具体的には、系統だった支援方法を確立させるために、ディクトグロス活動を行う上で、文章復元がより可能になるような学習者のレベルに合わせたディクトグロス・シートの開発のために、中位層・下位層クラスを対象に幅広くディクトグロスを試行した。その結果、中位層・下位層の学習者を対象にしたディクトグロス・シートが完成し、これにより教員からの学習支援法を明確に提示することができた。また、この学習者レベルに合わせたディクトグロス・シートの開発により、学習者のメタ認知能力向上の補助だけではなく、教員が活性化した授業を行う際のひとつの効果的な教授法を提示できたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、(1)学習者へのメタ認知向上の訓練方法の開発による学習支援と、(2)学習者の学習意欲を喚起する教員からの支援方法の2本立てて研究を進めている。(1)においては自律的に英文を読むための訓練方法の開発を進めており、(2)においては、ほぼ当初の計画を終え、まとめの段階に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、上記(1)の開発のために実証研究を実施し、どのようにメタ認知が向上していくのかを観察しながら、メタ認知能力向上の支援法を明確化する。また、(1)(2)のメタ認知向上のためのひとつの学習支援法として、広く教育関係者に知ってもらうために学会発表やワークショップなどを行っていく。
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