Research Abstract |
平成23年度までは,主に高等専門学校を中心にした英語表現活動時において,学生らが必要としている教室内での学習者同士の「関わり方」(人間関係)を探る目的の中,その実態を把握する手段として,hyper-QU(早稲田大学 河村茂雄著)を採用し,本研究参加者(平成22年度:n=209,平成23年度:n=207)を2年間に渡り調査をした.その際,英語力の定義とし,英語授業(3種類:リーディング,英文法,オーラルコミュニケーション)そして,英語実力試験(TOEIC Bridge)を採用し,その関係性を探索的に調査した.hyper-QUとそれぞれの英語力はわずかな相関関係しか認められなかった.原因としては,授業の成績は紙面上の試験結果や,提出物,レポート等,教室内での他社との関わりに影響されない部分が大きかったからであると考えられる.その後予定していた,教室内の人間関係を築くのに有効とされる諸活動等を基盤とし,英語授業としても効果的な授業内での英語表現活動を試行・検討し,それらの表現活動が教室内での学習者同士の人間関係に及ぼす影響について調べる段階までは進めていない. 現在は,英語力の定義を少し変え,より対人関係の影響があるであろう「英語対話テスト」を実施し,対話内での学習者の発話内容に関する調査を進めていく予定である.対話の中でも,次の分析ポイントにおいての違いを検証する予定である.(1)Number of Words(NW):対話内で発せられた総語数,(2)Number of Turns(NT):対話内で生じた総ターン数,(3)Number of Topics(NTO):対話内で出現した総トピック数,(4)Words per Topic(WP):1つのトピック内の総語数,(5)Turns per Topic(TP):1つのトピック内の総ターン数,(6)Number of Questions(NQ):お互いに投げかけた疑問文の数,(7)Length of their Silence(LS):約1秒以上沈黙した時間.参加者をhyper-QUを用いて,Category1(学校生活満足度群),Category2(非承認群,侵害行為認知群,学校生活不満足群)に分類し,それぞれCategory1同士と,Category2同士のペアを作り,英語対話テストの内容のどの部分に影響を及ぼすのかを調査している.このようなスピーキング活動(英語対話テスト)における影響を確認することができれば,今後の英語表現活動において,教室内での人間関係の調査だけでなく,教室内での人間関係の向上が,英語力の伸長へとつながることを提言できることを期待し,研究を続ける予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間にわたり,本研究参加者(平成22年度:n=209,平成23年度:n=207)の英語力と人間関係の関係性を調査してきたが,「実績概要」にも記したとおり,昨年度の調査では,学校の成績(Reading,Grammar,Oral Communicationのクラス)や,英語の実力試験(TOEICやTOEIC Bridgeテストなど)との間には,弱い相関を発見することができ,わずかではあるがその影響を確認することができた.しかし,教室内での人間関係を測定する尺度の開発までを目指してはいたが,hyper-QU(早稲田大学 河村茂雄 著)の採用により,より明確に教室内での学生の関係性を可視化できるようになり,研究の方向修正を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの結果をふまえ,hyper-QUを効果的に利用し,教室内での人間関係の在り方に影響される英語表現活動の側面の調査を開始することにした.今後の研究は,具体的には,2学習者間の英語対話テストとテストに向けての訓練を授業に導入することにより,紙面上の試験だけでは評価できない英語能力(英語表現活動の実験環境作り)の要因を意図的に誘発し,教室内での人間関係が,英語対話能力のどのような場面に影響を与えるのかを調査し,この結果を,平成24年度にまとめ,英語教育に関する学会等で発表する予定である.
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