2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520649
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
岡本 充弘 東洋大学, 文学部, 教授 (40113930)
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Keywords | 歴史理論 / 歴史叙述 / ポストモダニズム / 近代国民国家 / グローバリゼーション / モダニティ |
Research Abstract |
本研究が基本的な目的としていることは、グローバリゼーションの進行の中で広い意味での歴史、あるいはせまい意味での歴史学・歴史研究に生じている問題を、歴史認識・叙述が行われる場や、その具体的な内容において考察することである。なかでもとくに本研究が主題としていることは、これまで特定の場においてそうした場において共通するものとして語られてきた歴史に対して、歴史はなぜ「共同化」されてきたのかという問いを投げかけることを通して、歴史叙述・歴史認識の主体としての個人の意味を考察していくことである。またそうした問いかけを、歴史の共同の場として歴史を強く規定してきたナショナルな場だけではなく国際的な場に発信していくことである。 こうした問題意識にたって、本研究で平成22年度においてはこれまで歴史を大きく規定してきたナショナルな場にある歴史の問題点、それに代わるものとして登場しつつあるグローバルな場にある歴史の問題点を、第21回国際歴史学会議において行われたラウンドテーブル「歴史にグローバルなアプローチはあるか?」での発表をはじめとした研究成果欄に記されている業績をとおして明らかにした。とりわけ本研究が試論的なかたちで明らかにした歴史のグローバル化への批判、その根拠としてあげた歴史の共同化に付随する問題点の指摘は、本研究の独創的な成果の一つである。なおこうした視点から本研究は、問題意識を共通するポストモダニム的な歴史理論の提起した問題、あるいはアカデミックスペースにある歴史とパブリックスペースにある歴史の共通性と差異性に着目し、今後の歴史叙述・研究の方向性を示した。
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[Journal Article] 序2011
Author(s)
岡本充弘
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Journal Title
東洋大学人間科学総合研究所プロジェクト報告『歴史のトランスナショナル化とその問題点』
Volume: 1
Pages: 1-8
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