2011 Fiscal Year Annual Research Report
冷戦期の米英関係と国際秩序変容、1950年ー1957年
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22520650
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
鈴木 健人 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 准教授 (90275397)
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Keywords | 核兵器 / 世界戦略 / 同盟 |
Research Abstract |
平成23年度は前年度に引き続きアメリカ合衆国の議会図書館と国立公文書館で史料の調査と収集を行なった。特に議会図書館で政府高官の個人文書を収集することができ、大きな成果を上げることができた。第一に米英の世界戦略と地域戦略の解明について。米英の世界戦略を検証する過程で、米国の1950年代初頭の世界戦略とその軍事化が冷戦全体の軍事化に大きな影響を与えたことが判明したので、引き続き米国の戦略を分析した。英国については公刊史料に基づきその「世界戦略政策」(1952年)の問題点を解明した。第二に米英の核戦略を中心とする軍事戦略の解明について。核戦略については、米国が1952年を危機の年として設定し、核兵器の大幅な増強に進んだが、英国は米国から十分な情報が得られず、独自に核開発を進めた。だが西欧防衛や中東に関しては、軍事戦略の面で緊密な連携がみられ、英国は米国の核抑止力に依存しながら、地域戦略の構築にあたっていたことが判明した。第三に米英の戦略に対するソ連の対応と現地の動向を踏まえて、国際秩序の変容を総合的に解明する点について。この点については過去2年間に十分解明できていないので、今年度の中心的な課題として取り組む予定である。 第一と第二の研究目的については十分な史料の収集と分析が進んだので、第三の研究目的について検証を進め、できるだけ早く論文の形などにまとめて公表したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
米国の世界戦略と核戦略に関する文書が膨大な量にわたり、その分析に予想外の時間と労力が必要であった。その影響で英国の戦略の解明が予定よりやや遅れている。その結果、国際秩序変容の全体像を描く作業に若干の遅れが生じているが、今年度中に十分挽回可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは英国の国立公文書館で一次史料の調査と収集を進め、米国側の史料と突き合わせて比較検討ができるようにすることが重要である。英国側史料の分析が十分進んでいない状況でも、米国側の史料を使って研究を進めることは十分可能であり、一定の成果を上げることが可能である。そのうえで英国側の史料を付け加えて分析を進めれば、当初の予定通りの研究成果を上げることは十分可能であると考えている。 また地域戦略の解明が進まない場合には、米英の世界戦略に焦点を絞り、その問題点を解明することで、地域戦略に関する米英の協力や対立を解明することは十分可能である。
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