2012 Fiscal Year Annual Research Report
パリ国立図書館東洋写本室蔵書を巡る異文化交流の総合的比較研究
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22520663
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 信博 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 助教 (90345843)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | 文化交流史 / パリ国立図書館 / 写本室蔵書 / 西欧と東アジア / 17~18世紀 / 宣教師による著作 / 酒飯論絵巻 / 図像表象 |
Research Abstract |
最終年度において、モーリス・クーラン編『パリ国立図書館所蔵漢籍解題目録』およびアンリ・コルディエ編『17~18世紀に中国において西洋人によって出版された西書漢訳解題目録』と研究代表者が既に作成した目録との対照を行い、新たな範疇別目録を作成した。 そして、東北大学狩野文庫などが所蔵する西洋科学関係書(『新訂坤與略全図』、『六物新志』など)の調査を行なった。また、インディアナ大学リリー図書館蔵、和本およびキリスト関係書籍の調査を行い、目録を作成した。 その調査から、パリ国立図書館蔵のヨハン・アダム・シャール・フォン・ベル (湯若望)やフェルディナント・フェルビースト(南懐仁)が記した地理書や新井白石の『西洋記聞』、『采覧異言』、日本二十六聖人記念館蔵『坤與外紀七奇圖説』(「御法度書写」IV‐B16)などが南懐仁の『坤輿図説』の写本である事実を明らかにした。 つまり、吉宗以前に、地理書も含め、西洋科学漢書が秘密裏に一部の知識人の所有が確認されたのである。『坤輿萬國全圖』の翻刻は正保年間(1644-47)に既に始まっていたことが知られ、その写本は、東北大学と京都大学が所蔵する。そして、リリー図書館蔵『華夷通商考』は1695年に出版された地理書であるが、上巻には中国地誌、 下巻には朝鮮・琉球・台湾、さらに東南アジア・南アジア・西洋諸国などに関して正確に記すのも、イエズス会宣教師が記した漢訳書が日本に影響を及ぼした証拠であることを明示した。 加えて、2012年11月には、日本学術振興会国際研究集会助成を受け、「フランス国立図書館蔵「酒飯論絵巻」をめぐって」とする国際研究集会を主催した。同月に、日仏会館(東京)において「描かれる酒と米」と題する国際研究集会を主催した。なお、これらの研究成果は、2013年および2014年に勉誠出版と臨川書店から出版の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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