2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520664
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
池内 敏 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (90240861)
|
Keywords | 近世 / 日朝 / 外交文書 / 対外関係 / 以酊庵 / 対馬藩 |
Research Abstract |
近世初頭から幕末に到るまでの日朝外交文書の整理・分析と、それら外交文書を管轄した機構=以酊庵輪番制についての分析を進めるために、本年度は、韓国国史編纂委員会および長崎県立対馬歴史民俗資料館で、以下のような対馬藩宗家史料の調査を行った。 (1)以酊庵輪番制・東向寺輪番制および倭館に関係する史料を調査し、以酊庵輪番制と東向寺輪番制の関連について検討を行った。東向寺僧の任免や彼らの活動記録に関わる記述を筆写採録ないしは複写採録した。(2)18世紀末(天明年間)に以酊庵輪番僧を勤めた梅荘顕常の動向に焦点を据えながら、以酊庵輪番制・輪番僧の活動について追究した。 一方、以酊庵輪番僧の重要な任務の一つに朝鮮通信使随行があるが、その折りに朝鮮通信使と様々な外交折衝を行うことがあった。その具体例としての1763年通信使の事例を分析した。また、そうした外交折衝における朝鮮側の実務を担った訳官の分析も行った。これらは、韓国・ソウルにおける国際シンポジウムで口頭発表した。 これらの研究成果を踏まえると、外交文書それ自体の分析を継続的に進めるとともに、それら文書を管轄した機構や役職(実際に担った人びと)の分析が必要であると感じられた。これらは、次年度以後の研究課題としたい。
|