2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520665
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 良平 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (30135503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 勝也 関西大学, 工学部, 教授 (80202290)
鈴木 久男 京都産業大学, 文化学部, 教授 (50460671)
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Keywords | 日本史 / 建築史・意匠 / 考古学 / 平安京 / 空間 / 居住 / 庭園 / 中国の住宅 |
Research Abstract |
本研究の目的は、個別の居住・住宅の解明と、個々の居住の集合または分散すなわち都市内部の一定の地域・空間の個性を究明することである。本年度の課題は、第一に貴族の邸第の庭園の検討、第二に西七条など、右京の南部地域のあり方の考察、第三に左京七条・八条など左京南部地区の分析、第四に中国の庶民住宅と日本の小屋の比較である。 第一に貴族邸第の庭園では、平安京右京二条二坊八町の調査を取り上げた。八町ではすでに南側で園池が検出されるが、2010年度の調査で貴族邸第に相応しい園池が発見された。八町は文献史料では左衛門町とあるだけで(『拾芥抄』「西京図」)、立派な園池と諸司厨町とは異相である。反対に文献の信頼性に疑念が生ずるが、10世紀に耕作溝が検出され、その時期に厨町の可能性を想定した。今後も、未知の園池が発見される可能性が多々ある。第二の西七条など右京南部地域の問題では、発掘成果と文献の両面から検証した。文献では左京七条と対比しつつ、西七条と松尾祭の相関関係が強調され、発掘からは右京南部を六条ブロックと七条ブロックに分け、七条ブロックの継続性が確認された。第四の中国の庶民住宅は、『新唐書』(1060年)を皮切りに、盧舎などから民盧・民居など用語の種類が増加する。日本の小屋はわずか4件だけで、小屋の個性が際立つ。 第三の左京の南部地区は今後の課題とされたが、新たに王朝物語と居住空間の関係、『拾芥抄』「西京図」の右京三条三坊五町の「栖霞寺領」の問題を取り上げた。物語の姫君を未婚と既婚に分け、未婚の姫君に寝殿と対居住の格差を指摘し、また既婚の諸相を分析した。貴族の居住に物語の情報を組み込む必要性が痛感される。また、右京三条三坊五町では京内で例外的に良質の緑釉陶器が出土し、その背景に源融=嵯峨源氏(栖霞観造営)との関連を想定した。また、平泉や博多など各地の都市遺跡を踏査し、平安京遺跡分析の資料を整理した。
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Research Products
(4 results)