2012 Fiscal Year Annual Research Report
木簡・正倉院文書・編纂史料の相互比較による日本古代文書論の再構築
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22520667
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
市 大樹 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (00343004)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 木簡 / 正倉院文書 / 編纂史料 |
Research Abstract |
本研究は、「日本古代文書論の再構築」を目的として、木簡、正倉院文書、編纂史料の相互比較をおこなうというものであった。すなわち、〈文書の機能〉〈紙と木の使い分け〉〈文書伝達と口頭伝達との関係〉の3点に注意しながら、日本古代の行政システムを具体的に再現するとともに、従来の文書様式論に変わる新たな枠組みをつくることを目指した。 こうした目的のもと、本年度は平成22・23年度に引き続き、木簡を中心として広く史料収集をおこなった。特に注意を払ったのは、〈文書の機能〉とりわけ「木簡の多機能性」についてである。木簡は一度の使用で役目を終えるとは限らず、二次利用、三次利用される場合が少なくない。いかなる原理のもと、木簡は多機能性を果たしていたのかについて、紙の文書との比較という視点から検討を試みた。その検討結果の一部については、論文「御食国志摩の荷札と大伴家持の作歌」、国際学会での報告「都の中の文字文化」として発表した。さらに、飛鳥時代における木簡使用のあり方を考察し、飛鳥時代像の再検討をおこなった単著『飛鳥の木簡-古代史の新たな解明-』を刊行することもできた。 また、〈紙と木の使い分け〉〈文書伝達と口頭伝達との関係〉に関する研究成果については、前年度に単著『すべての道は平城京へ-古代国家の〈支配の道〉-』を刊行しており、どのようにして情報伝達がなされ、使者が移動をおこない、物資が動いていたのかを検討している。本年度はそれをさらに発展させる形で「古代の交通」(『三重県史通史編 原始・古代編』刊行予定)を執筆することができた。 3年間の研究を振り返ってみて、木簡については相応の研究成果をあげることができたと考える。最終目標の「日本古代文書論の再構築」を全面的に展開するにはさらに検討を要するが、重要な手がかりを得ることができ、これを基礎に今後も研究を進めていく所存である
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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