2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520678
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
津野 倫明 高知大学, 教育研究部・人文社会科学系, 教授 (60335916)
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Keywords | 日本史 / 朝鮮出兵 / 軍目付 |
Research Abstract |
本研究では朝鮮出兵における軍目付の機能および実態を解明することを全体構想としている。初年度にあたる本年度は倭城跡の現地調査は控え、予備的な史料調査を含む史料収集を実施し、次年度以降の本格的調査・分析を実行しうる態勢を整えるべく以下のような活動をした。 1.史料収集:(1)7月、東京大学史料編纂所において藤堂文書などの史料調査(閲覧・筆写など)を実施した。(2)2月、福岡市博物館において筑紫家資料の史料調査(閲覧・撮影)を実施した。(3)繰越により平成23年7月、東京大学史料編纂所において浜文書などの史料調査(閲覧・筆写・複写など)を実施した。(4)細川家文書・綿考輯録などの史料集も購入により収集した。2.史料分析:(1)慶長の役に際する軍目付任命に関する豊臣秀吉の意図について、軍目付早川長政宛の長宗我部元親書状などの諸史料を分析した。(2)いわゆる戦線縮小論に関する諸史料を分析し、次年度以降の倭城跡の現地調査において「川越」「大河」「船付」「干潟」などを重視すべきことを認識した。3.研究発表:(1)前記の元親書状の分析などにより、研究成果として研究論文「軍目付垣見一直と長宗我部元親-軍目付研究の作業仮説-」を発表することができた。同論文では、元親が軍目付一直に対する平身低頭の態度を堅持していたと考えるべきことなどを論じ、それらをふまえて軍目付の実態や諸大名との関係を解明するための作業仮説を5点にわたって提示した(秀吉に近侍しうる人物であることが軍目付抜擢の必要条件の一つとして仮定されるなど)。この作業仮説は本研究の今後の道標となると考えている。
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