2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520691
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
季武 嘉也 創価大学, 文学部, 教授 (40179099)
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Keywords | 第一次世界大戦 / 後藤新平 / 安川敬一郎 / 岡実 / 海外視察 |
Research Abstract |
平成22年度分の研究費の内700,000円を、平成23年9月30日まで繰り越して使用した。本研究の目的は、第一次世界大戦頃に起こった世界的大変動の中で、日本がそれに対応すべくとった活動を主対象とするものであるが、この期間においては、第一に、後藤新平の欧米外遊に関する研究を行うべく、関連図書を購入し分析した。後藤は既成の有力政治家の内、最も国際情勢に敏感に反応しており、それ故に少壮政治家・ジャーナリストから注目を浴び、その影響力も大きかった。第二に、福岡県北九州市に存在する「いのちのたび博物館」に出張し、安川敬一郎関係の史料を閲覧した。安川は、第一次世界大戦後における重化学工業の勃興を予期し、特に鉄の原料である鉄鉱石を中国に求めるべく、政治家・経済人の間を積極的に走り回った。ただし、日中の政治関係の悪化や中国情勢の流動化によって、日中の経済関係を改善することはできなかった。第三は、岡実という農商務省の高級官僚の日記を国立国会図書館憲政資料室から複写した。岡は、第一次大戦直後に発足する国際労働機関に日本代表として出席するため欧米に向かったが、本日記はその出張の際のものである。当時、世界的な社会主義思想の高まりと、国際的経済競争の激化の中で、国際的には遅れた日本の労働環境は多くの問題をはらんでいた。岡の日記は、これを如実に表している。 以上の者たちは、いずれも当時の日本の国際化に敏感に反応した代表的で有力な人物であり、彼らの史料を読み込むことによって様々な知見が得られた。
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Research Products
(1 results)