2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520691
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
季武 嘉也 創価大学, 文学部, 教授 (40179099)
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Keywords | 大正期 / 海外渡航 / 海外視察 / 岡実 / 安川敬一郎 / 後藤新平 |
Research Abstract |
本研究は、第一次世界大戦頃に起こった世界的大変動の中で、日本がそれに対応すべくとった活動を主対象とするものであるが、平成23年度においては、主として資料収集に力を注いだ。その結果、第一に『東京朝日新聞』を中心に、日本人の海外渡航に関する新聞記事を大量に複写し、同時にデータベース化することができた。また、従来、余り研究では使用されていない「徳富蘇峰関係文書」(神奈川県二宮町)中の関係史料も多く収集することができた。そのほか、国立国会図書館憲政資料室に存在する諸史料からも複写した。第二に、北海道大学大学院院生に北海道での関連資料の調査をしてもらった。その際には、院生に上京してもらい、東京で史料の検討会を行った。第三に、『帝国統計年鑑』・『旅券下付数及移民統計』・『海外渡航及在留本邦人統計』等から、海外渡航数の把握(時期別・行き先別・目的別)に努めた。以上の収集の結果、研究代表者はこれらをグラフ化し、大正後期の海外渡航に関する大枠を掌握することができた。特に、明治期においては国家建設という長期的視点から留学が多かったが、大正期には国策的観点から視察が多くなったことなどが明らかになった。 つぎに、収集した資料の分析のため、収集にあたったオーバードクターや院生たちと、数多くのワークショップを開催した。特に、『大正中国見聞録集成』・『安川敬一郎日記』・『後藤新平』・「岡実日記」・「児玉秀雄関係文書」等から多くの知見を得ることができた。彼らはいずれも、大戦後の日本国家・社会の形成に重要な役割を果たした人物たちであり、彼らの海外で受けた印象がその後の日本に大きな影響を及ぼしたことを考えれば、大きな成果であったと感じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大正後期の日本人の海外渡航・視察の大枠を掌握できたことは、大きな成果であったと考えている。ただし、収集した資料が膨大であるため、いまだそれを十分に分析できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、収集した資料の分析が大きな比重を占めることになる。この作業は、部分的には研究協力者の協力を仰がねばならないが、多くは研究代表者自身の作業であり、今後の研究計画に大きな問題点はないと考えている。
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Research Products
(2 results)