2011 Fiscal Year Annual Research Report
古代日本の対渤海交渉と渤海王城との交流回廊に関する歴史環境学的研究
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22520693
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Research Institution | Toyama University of International Studies |
Principal Investigator |
藤井 一二 富山国際大学, 現代社会学部, 客員教授 (00139742)
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Keywords | 渤海使 / 遣渤海使 / 渤海上京城 / 中京顕徳府 / 黒龍江流域 / 図們江流域 / 旧国 / 鏡泊湖山城 |
Research Abstract |
古代日本の対渤海交渉と渤海王城との交流回廊に関する研究の深化を図るため、研究目的に基づき、(1)渤海使・遣渤海使の発着状況と渤海王城の歴史的関係を分析し、(2)渤海・日本の「単独使」「送客使」の場合を区別して、渤海早期段階の日本・渤海王権の関わりを東アジア諸国・諸民族の動向と結びつけて論証した。また、(3)前年度に続き現地調査と学会報告を通じて関係遺跡・文物の資料収集を図った。そのため黒龍江流域文明論壇報告「古代日本と中国東北交流-渤海王の使者」(中国鶴崗市)図們江流域論壇報告「渤海早期と古代日本の交流特性」(中国延吉市)等の機会に、研究交流と新資料収集を実施し、そこでは渤海遺産の分布と歴史的環境を把握する上で、黒龍江(支流に松花江)・図們江(支流に海蘭河・布尓蛤通河)流域を中心に再構成するための確かな展望をえた。国内では遣渤海使の発着と渤海使到着の「北陸道」の歴史理解を深める意図から、「高志国の成立と分立」(古事記学会大会)を報告・成稿した。これは30余回に及ぶ日本と渤海の交流にしめる日本海側拠点地域の歴史的環境を理解するための重要な意義をもつ。また、海外資料調査は国際フォーラムへの参加の機会と連動し、(1)中国黒龍江省寧安市の渤海上京城址・同遺址博物館、鏡泊湖湖畔渤海山城、(2)吉林省延辺自治州(琿春市の図們江流域)、(3)黒龍江省鶴崗市の黒龍江流域博物館の巡見によって、渤海遺産の現地景観と歴史的環境に接することができ、画像収録も進めた。この間の活動は、ニューズレター『東アジアの交流と文化遺産』4(平成23年度概要)・5(北陸道の成立)・6(渤海遺跡特集)・7(図們江学術論壇報告)・8(旅順博物館特集)に記録し、最終年度に集成の予定である。共同論集に掲載の論考「渤海早期王城と古代日本の対渤海交渉」では、(1)渤海の建国・王城と交流環境、(2)旧国と日本・渤海間交流、(3)中京顕徳府と日本・渤海間交流を焦点に、渤海・渤海靺鞨・高麗の表示を主体領域・主体種族・黒水靺鞨との関係から考察し、その観点の重要性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
○資料調査・収集は、中国東北部における学会参加・報告の機会を利用し、本年度、とくに黒龍江省の牡丹江流域における現地調査に収穫があった。また国内では図書(共著)刊行・学会誌における論文発表をみた。 ○黒龍江流域文明論壇・図們江学術論壇における研究発表の概要を「ニューズレター」(4~8号)で発信できた。
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Strategy for Future Research Activity |
○研究成果の集成 (1)3年目に入り、平成22・23年度の研究活動成果の整理・精査を行い、学術論文の執筆を進める。 (2)昨年に引き続き、研究協力者を含む研究会や国際学術論壇に参加・報告し、その成果を共同論集として刊行すべく企画・準備する。 ○セミナー開催と情報発信 (1)本年度末に、創刊号以来のニューズレターを集成・合本し、その開示を兼ねて関係機関と連携してセミナーを開催する。 (2)情報誌「ニューズレター」(10号~)の編集・発信を行い、ホームページへの開示を準備する。
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Research Products
(4 results)