2011 Fiscal Year Annual Research Report
畿内近国小藩領における大庄屋機能の研究―播州福本藩領鵜野金兵衛家の活動を中心に―
Project/Area Number |
22520697
|
Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
今井 修平 神戸女子大学, 文学部, 教授 (00131540)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東谷 智 甲南大学, 文学部, 准教授 (10434911)
村田 路人 大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40144414)
志村 洋 関西学院大学, 文学部, 教授 (90272434)
鎌谷 かおる 神戸女子大学, 文学部, 講師 (20532899)
|
Keywords | 日本史 / 江戸時代 / 播磨国 / 大庄屋 / 畿内近国 / 地域秩序 / 家臣団 |
Research Abstract |
本研究は、畿内近国の外様小藩領を素材に、領主支配・領域経済・広域支配を支える存在であった大庄屋の役割について、公と私、すなわち行政的役割と経済活動の両面から分析をおこなうとともに、これまで本格的には検討されて来なかった播磨国の地域的特性を解明することを目的にしている。具体的には、1、緻密な古文書調査を通じておこなう大庄屋機能の再検討 2、近隣諸藩を視野にいれた播磨国の「総合的な地域像」の構築をめざす。 以上の、研究計画にしたがい、平成23年度は、以下の作業を実施した。 (1)神河町教育委員会所蔵の福本藩大庄屋鵜野金兵衛家文書のうち、主として近世文書約3000点についての目録作成を終え、「鵜野金兵衛家文書目録(近世編)」を刊行した。また、同家の「大庄屋日記」のうち2冊分の翻刻作業を終えて、3冊目に着手している。 (2)福本藩関連古文書の調査研究 福本藩池田家の宗家にあたる鳥取藩および岡山藩の池田家の文書調査を鳥取県立博物館(昨年に引き続き2度目)、姫路市城郭研究センターにおいて、また福本藩池田家の飛び地領支配関係資料調査を高砂市の市史編さん課においておこない、そこで収集した史料の分析をもとに播磨地域における外様小藩(交代寄合旗本)福本藩池田家の領主としての特性はある程度、解明できた。 (3)研究成果の発表 前年度より継続している研究会とシンポジウムの成果をもとに研究代表者、研究分担者、研究協力者のうち3名がそれぞれ論文を作成し、発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心となる、鵜野金兵衛家文書の整理・調査・目録刊行については、順調に進行している。また、福本藩関連古文書の調査についても、ほぼ完了した。すべての古文書の目録の作成や翻刻作業の完成は期間内には困難であるが、当面研究に必要となるものについての調査は完了する見込みである。今後は、研究成果を発表し、さらなる論文作成と史料集の刊行にこぎつける。
|
Strategy for Future Research Activity |
目録化と翻刻をすすめている鵜野金兵衛家文書をもとに、大庄屋としての特質解明の共同研究を進める。さらに本研究をすすめていく過程で、近世小藩領の地域社会において領主支配・領域経済・広域支配を支える存在であった大庄屋機能を解明し歴史的に位置付けるためには、幕末・維新期を経て近代社会にどのような変化を遂げたのかということを含めて研究を進める必要があると感じたため、今後は鵜野金兵衛家文書に多く含まれる明治期以降の近代文書の目録作成をもすすめるとともに、近代史を専門とする研究者を加えて研究を進めたい。
|
Research Products
(3 results)