2011 Fiscal Year Annual Research Report
明朝遼東鎮をめぐる官僚人事・政策形成・朝鮮関係の解明
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22520706
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
荷見 守義 弘前大学, 人文学部, 教授 (00333708)
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Keywords | 明朝 / 遼東 / 監察体制 / 御史 / 朝鮮 / 情報 / 外交 / 国防 |
Research Abstract |
本研究は、明朝遼東鎮の内部構造を、官僚人事・政策形成・朝鮮関係の三方面から解明することにある。「明代巡按山東監察御史の基礎的考察」はこのうち、官僚人事の根幹に関わる研究成果である。遼東鎮の内部構造については、従来、概括的なことは分かっても、その実像ははっきりしていないところが多い。例えば、巡按山東監察御史が遼東鎮に派遣されていることが分かっていても、本省である山東との区別について検討されたことはこれまで皆無であった。実際、山東本省と遼東鎮に派遣された巡按山東監察御史のなり手を比較してみると、山東本省と遼東鎮とで、重なる人員は一人もいない。また、山東本省には本籍地回避の原則に則って山東出身者は派遣されていないが、遼東鎮には一定数の山東出身者が派遣されている。実は遼東鎮は山東の一部とされており、従って、そこに派遣される巡按監察御史も山東の名前が冠せられている。しかし、そこに山東出身者が派遣されていることから、実際のところは山東本省とは切り離された辺境鎮守の地と認識されていることが分かるので、同じ巡按山東監察御史であっても、山東本省に派遣されるか遼東鎮に派遣されるかは、明瞭に区別されていることが分かる。従って、遼東鎮を山東本省の付属物のように見る見方は、今後、明確に批判されるべきものであることが分かった。 また、『情報の歴史学』の成果は、政策形成の成果に該当し、遼東鎮自在州において、審判のために収集された辺境情報は、政策形成に一定の影響をもたらしたことが明確となった。今後、審判のような裁判も、情報収集・政策形成において注目されるべきであろうと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果はコンスタントに形になって公刊されており、おおむね当初の計画通りに研究は進展している。ただ、東日本大震災の影響で、出張計画を後回しにせざるを得ず、新年度の研究活動において補っていくこととなる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も継続して基礎的研究を積み重ねるとともに、国際学会においてその成果を披露する計画がある。また、一般向け書籍出版の計画があり、それを着実にこなすことが今後の方策となる。
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