2013 Fiscal Year Annual Research Report
明朝遼東鎮をめぐる官僚人事・政策形成・朝鮮関係の解明
Project/Area Number |
22520706
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
荷見 守義 弘前大学, 人文学部, 教授 (00333708)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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Keywords | 遼東鎮 / 宗藩の海 |
Research Abstract |
明代中国の辺疆防衛をめぐる多角的な検討を進め、その結果を4年間の研究の総まとめとして『明代遼東と朝鮮』(汲古書院、456頁)として出版することとなった。本書は第I部 明代遼東鎮の構造、第II部 明代遼東と朝鮮・ジュシェンの二部構成であり、第I部では、明代の遼東が山東地方の一部としてではなく、独立した機関として存在したことを、巡按山東監察御史の多角的検討の中から明らかにした。この過程では新出の明代档案史料を活用した。また、遼東鎮における馬市の実態について、档案史料を地方志と組み合わせることで、これまで明らかにならなかった運用の側面、取引現場の具体的な状況に踏み込んで明らかにした。また、第II部では、明代初期から中期にかけての中国と朝鮮との関係を、永楽期、土木の変期、成化3年の変時に分けて論じ、また、朝鮮世祖の時代の朝鮮とジュシェンの危うい関係の構造的側面を政争や事大、交隣関係の分析を交えて明らかにした。 また、当該年は2本の論文を公刊した。「明朝档案を通じて見た明末中朝辺界」においては、明朝末期の天啓年間の遼東防衛問題を中心に、この当時、皇帝直属として各地の軍に派遣された宦官の問題を取り扱った。「「宗藩の海」と被虜人」においては、遼東鎮の海域との関わりについて論じた。特に明代後半期の所謂「後期倭寇」時期に続発した倭寇による中国人略取について華重慶という若者の数奇な運命を追いかけ、彼が朝鮮王朝に保護され、やがて遼東鎮に送還され、北京を経て故郷に生還出来た事情について検討した。 さらに、当該年は国際シンポジウムにおける発表を1回行った。「倭寇と海防 中華王朝にとって海とはなにか」において、明代永楽期を中心に明朝の理念としての「宗藩の海」と、海防の実態との関係について見通しを話しつつ、東アジア海域の新たな捉え方について議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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