2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520707
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
松井 太 弘前大学, 人文学部, 教授 (10333709)
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Keywords | 中央アジア / ウイグル / 帳簿 / 古文書 / 歴史 / 税役制度 / 仏教 / 東トルキスタン |
Research Abstract |
(1)中央アジア・新彊地域出土の古代ウイグル語帳簿資料について,既収集の写真複製・画像データに基づいてテキスト転写・英訳作業を開始した。これは現在も継続中である。 (2)ロシア科学アカデミー・サンクトペテルブルク東洋文献研究所を訪問して,帳簿資料を含む古ウイグル語の諸種社会経済文書資料を実見調査し,基礎的な情報やテキスト校訂作業を行なった。 (3)ドイツ・ベルリン科学アカデミー主催の研究集会"Collegium Turfanicum"において講演を行ない,帳簿資料を含む社会経済文書を主要な資料として,古代ウイグル社会の税役制度を概観した。 (4)イスタンブル大学(トルコ共和国)に遺存する旧ベルリン所蔵文書資料群の写真複製を調査し,ソグド語・ウイグル語の2言語で書かれた帳簿資料を発見した。これは,10~11世紀頃のイラン系ソグド人とトルコ系ウイグル人の文化的・言語的・経済的接触をうかがう上での貴重資料であり,ソグド語の専家である吉田豊氏(京都大学)と共同で研究を進め,その成果を中国で開催された国際学会「西域古典語言學術高峰論壇」で報告した。 (5)大阪大学歴史教育研究会大会で講演を行ない,高校の地歴科教員を主な対象として,中央アジア出土ウイグル語文献研究の世界史上の意義を解説した。 (6)その他,ウイグル語帳簿資料をとりまく社会経済史的背景として,仏教教団の寺院運営や宗教活動,農業灌漑設備の歴史地理的問題,税役制度の実質的運営の再構成,商業民の交易活動に関するものとして,項目(11)に記載の単行論文・図書を発表した。
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