2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520708
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒田 卓 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (70195593)
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Keywords | 東洋史 / 西アジア史 / 比較・交流史 / イラン近代史 |
Research Abstract |
本研究は、イランが西欧に起源する「近代性」と邂逅する現場を中心的テーマに据え、その痕跡端的に物語る文字テクスト、とりわけペルシア語による訪欧旅行記、世界地理書、散文文学作品などを取り上げ、テクスト作成者を取り巻く政治的・社会的背景の解明、テクストに表れたヨーロッパ起源の文物・制度・思想などがどのように表象・認識されたかを分析することを目的とする。本年度の主な研究成果は以下の通り。 1.インド在住イラン人知識人によるテクストを概観するM.Tavakoli-Targhi著Refashioning Iranを精読し研究史的知見を得るとともに、その理論的枠組をヒントにアブドル・ラティーフ・ハーン・シューシュタリーの世界地誌『世界の賜物』の分析を試み7月に研究会発表を行った。 2.19世紀の初めにイングランドに渡った3人のイラン人が残した旅行記を素材にして、各々のテクストの表象上の比較をテクスト作成者の立場を織り込んで考察し、11月に所属研究科の公開講座で一般向けに講演を行った。 3.イランにおける「近代性」とも密接な関連性をもつナショナリズムについて現在の動向も含めた概説を行うとともに、ソ連とイランとの関係を扱った論文を公表した。なお、イランへの出張を現地情勢の変化のためロシアへの資料調査出張に切り替え、ロシア語公文書の調査収集を文書館で実施した。
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Research Products
(3 results)