2010 Fiscal Year Annual Research Report
中国新疆ウイグル自治区におけるイスラーム聖地に関する基礎的研究
Project/Area Number |
22520711
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
菅原 純 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (30420285)
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Keywords | マザール / カシュガル / ホタン / 聖者廟 / 巡礼 / ワクフ / 文書研究 / データベース |
Research Abstract |
プロジェクト初年度にあたる今年度は、初期の計画通り(1)情報の総合、(2)調査、そして(3)成果公開の3つのタスクにつき、以下の通り活動を実施した。まず(1)情報の総合は上述の連携機関との協議のうえ、「聖地データベース」のデータ書式(項目)を整備し、主としてカシュガル地方の都市近郊と北部クルグズ遊牧地域の聖地情報の入力を開始した。新〓地域のイスラーム聖地につき、公開を前提として網羅的にデータの収集・蓄積を行うのは学術上初めての試みであり、データのコンテンツは無論のこと、データ書式も同種の研究遂行上一定の参照価値を有している。(2)調査は「経済特区」指定等の影響のもと急速に伝統的都市景観が失われつつあるカシュガル(喀什)市において8月に現地連携機関との共同実地調査を実施し、文書史料などの記述に依拠してデータの稀少な複数の聖者廟につき厳密な位置データの取得と聞き取り調査をおこなった。そして(3)成果公開については、6月にCNRS(フランス国立科学研究センター)で開催されたイスラーム書写史料学会、8月に中国新疆社会科学院が開催した「新疆と中央アジア」会議、さらに9月のCESS(北米中央ユーラシア学会)等の国際学術会議において、それぞれイスラーム聖地に関する研究成果の報告を行い、研究課題遂行上有益な情報交換を行った。以上、今年度は所期の計画をほぼ実施し、第二年度につなぐ成果が得られたものと結論できる。
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