2012 Fiscal Year Annual Research Report
通信使と燕行使から見た日朝中三国の政治的・文化的位相
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22520714
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
夫馬 進 京都大学, 文学研究科, 教授 (10093303)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 通信使 / 燕行使 / 日本 / 朝鮮 / 中国 |
Research Abstract |
本年度は以下の研究をおこなった。 1)朝鮮通信使と朝鮮燕行使をつなぐキーパーソンは洪大容である。洪大容の北京での筆談集『乾浄筆譚』の現代日本語訳を完成した。この『乾浄筆譚』は朝鮮知識人と中国知識人との文化交流をあらわすもっとも重要な文献である。かつ、この文献の出現が朝鮮にあたえた衝撃は計り知れないものがあり、いわゆる朝鮮北学派が生まれたのもこの文献の出現を契機とした。筆談の内容は中国・朝鮮の政治・社会・文化諸側面にわたるのみならず、日本など諸外国についての彼らの知識についても含まれる。この翻訳が完成したことは、朝鮮通信使および朝鮮燕行使の研究のみならず、東アジア三国の政治的・文化的位相の中での各国の位置をはかる上で、この上ない意義をもつ。『乾浄衕筆談』の現代語訳は、すでにハングルでなされているが、本翻訳はそれらの誤りを多く訂正している。本翻訳は2013年秋に平凡社・東洋文庫より刊行される予定である。 2)洪大容『乾浄筆譚』の前身は『乾浄衕会友録』と称した。この『乾浄衕会友録』は現存しないとされてきたが、2012年3月に私はこの文献をスンシル大学キリスト教博物館にて発見した。本年度、スンシル大学基督教博物館へ二回赴き、『乾浄衕会友録』の原物を閲覧し、洪大容がどの部文を改変したのか、その改変の課程はどのようであったのかを調査した。その結果、2012年6月に韓国で公刊された私の論文「洪大容『乾浄衕会友録』とその改変」で記したことが正しかったことが、確認された。 3)日本・朝鮮・中国の東アジアにおける国際構造を明らかにするため、これら三ヶ国が琉球国をどのように認識していたのかを研究した。論文「北学派を中心とした朝鮮知識人による琉球の国際的地位認識」を執筆し、これは2013年6月に公刊される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)