2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520721
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
小名 康之 青山学院大学, 文学部, 教授 (60118718)
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Keywords | ムガル時代 / アクバル / アウラングゼーブ / スーラト / ヒンドゥー商人 / ジャイナ商人 / パールスィー / ヨーロッパ東インド会社 |
Research Abstract |
今年度(~24年3月31日)の研究実績。本研究目的は、現在のインド商人グループの原型をさぐることにある。現在、大きな経済的勢力をもつ企業グルーとして、パールスィー商人出身グループが有名であり、その原型となる集団は、ムガル時代に成長をとげた。この商人集団の発展を史料によって裏付けていくことが本研究の目的である。研究実施計画に基づき、23年度は、22年度に引き続き、一次史料を調査した。23年8月~9月に、イギリス、ロンドンの、British Libraryを訪れ、India Office Library and Records、一次史料を調査した。おもに、イギリス東インド会社関係史料として保存されている史料集には、英語史料のみならず、ムガル時代のペルシャ語の手書きの写しも含まれている。これらの史料の調査によって、ムガル時代のパールスィー商人集団の成長が史料によって、裏づけられた。 イランからインドへゾロアスター教徒の集団が8世紀に来航、定住した。インド中世におけるかれらの活動はほとんど不明で、歴史史料から明白となるのは、ムガル帝国のアクバル時代になってからである。 パールスィー集団に、広大な無税地が授与されたことが、皇帝アクバル名の文書によって、明らかとなった。ムガル時代のパールスィー商人の活動は、領主としての経営から、ムガル時代の西インド最大の貿易港であるスーラトにおける一大商人グループへと成長したことが史料によって裏付けられた。アウラングゼーブ時代、ヨーロッパ東インド会社の貿易は成長し、在地の、ヒンドゥー商人、ジャイナ商人などのインド商人グループの商業活動は急速に成長をとげた。なかでもパールスィー商人グループの成長が著しく、一次史料の調査によってそのことが裏付けられたことは、昨年度の研究の成果であり、当初の研究目的にてらし、研究実施計画に基づいた研究実績をあげた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現段階では、一次史料を、現在残存している必要なすべての文書を完全に調査しおわるまでにいたっていないが、研究目的にあわせ、インド商人グループの原型が、ムガル時代に次第に成長していった状況をかなりの程度まであきらかにすることができた。今後は、最終年にむかって、当初の目的に沿って、歴史的な流れをまとめていくことが重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年の実施計画としては、これまでに判明した史料をさらにふかめて解読していくことが必要となる。これは、本研究において調査した史料は、新史料はもちろんのこと、まったくの新史料ばかりとは言えないが、従来の研究において、必ずしも研究に十分に生かされてこなかった史料を、新たな角度から見直す必要にせまれているものもある。最終年には、現段階で研究計画の変更はまったくないし、また、当初の研究課題に沿って、研究を遂行する上で重大な問題点が発生していない。今後、最終年のまとめの作業に入るつもりである。
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