2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520735
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 まゆ帆 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (60192697)
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Keywords | 社会史 / フランス近世史 / 身体 / 多数決 / 多数決 / 出産 |
Research Abstract |
初年度である平成22年度は、8月25日~9月30日にフランスに滞在し、パリの国立図書館、オセールにあるヨンヌ県の文書館(ブルゴーニュ)およびトロワにあるオーブ県文書館(シャパーニュ)にて、文献探索及び調査を行った。この地域の18世紀末の村、教区での選挙の方法に関しての、個別の紛争に関する文書の探索の結果、トロワの西15kmに位置するある小教区の村総代を巡る紛争に関する文書を入手した。またブルゴーニュではアヴァロンの都市の社団化の過程を示す18世紀末の王令とも出会うことができた。この両者の文書は、アルザス・ロレーヌとは異なり、いち早くフランス王国に組み込まれていた地域の事例であるが、社団という王国への統合の過程をさし示す事例として、比較史の観点からアルザス・ロレーヌでの紛争の参照系となりうるものである。また、パリ国立文書館では、農村共同体に関する研究書を探索し、農村共同体la communaute ruraleの日常的様態を知る手がかりとなる文献を探索した。これらは本研究の中心課題である多数決による選択の実態の究明とこの時代における多数決原理の受容とゆらぎを考える重要な手がかりとなり、社団国家体制と言われるフランス王国の社団化の動的な過程をとらえる鍵となる文献でもある。ただし、当初予定していたアルザス・ロレーヌの文書館には、日数の関係で現地にまで至ることができないまま帰国することになった。したがって史料の読み直し、及び関連文書の当該地域での探索は、平成23年度の調査に繰り越された。
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Research Products
(2 results)