2010 Fiscal Year Annual Research Report
第一次世界大戦後ドイツ・中欧におけるマイノリティ問題の相互関係史
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22520736
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
相馬 保夫 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (90206673)
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Keywords | 西洋史 / マイノリティ / 国民国家 / ドイツ / 中欧 |
Research Abstract |
本研究は,第一次世界大戦後のドイツ・中欧地域において国民国家体制が再編されることによって生み出されたマイノリティ問題の展開をたどり,この問題が第二次世界大戦末から戦後にかけてこの地域の住民移動・追放に帰着したことを歴史的に明らかにしようとするものである。マイノリティ問題はこの時期,国内政治と国際政治が交錯する一大争点となり,第二次世界大戦から戦後にかけてのこの地域の国民国家体制にきわめて大きな意味をもったにもかかわらず,わが国ではその方面の研究はまだ緒についたばかりである。この過程をドイツ・中欧地域の相互関係史の問題として歴史的に問い直すことが,本研究の最大の目的である。 本年度は,まずこの問題に関わる研究を収集・整理するとともに,ドイツ,ポーランドの図書館・文書館で関係する資・史料を収集し分析することに専念した。とくに,1920年代後半から1933年までドイツ・中欧地域におけるマイノリティ問題が同時期の国際関係および国内政策にどのように関係し,国際連盟によるマイノリティ保護の体制がいかに骨抜きにされていくかを,ドイツ,ポーランド,チェコスロヴァキアの外交政策とマイノリティ政策の連関という視点から研究し,各国のマイノリティ政策をこのような相互関係史の視点から検討した。 以上の点については,多元的な検討・分析が不可欠であり,そのための第一次史料の収集はまだ不十分なので,来年度も引き続き史料の収集と検討を進めていくつもりである。
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