2013 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国ノースカロライナ州ダーラム市の黒人コミュニティに関する研究
Project/Area Number |
22520737
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
佐々木 孝弘 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (10225873)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 西洋史 / 家族 / 人種 / コミュニティ |
Research Abstract |
1900年から1920年までのセンサス原票とダーラム市人名録の記述をもとに、調査対象地域におけるアフリカ系アメリカ人の居住と雇用のデータを収集した。同地域に住む比較対象となる白人の雇用に関するデータ収集がまだ完了していない段階なので確実なことを言うことはできないが、研究結果について以下のようにまとめることができる。 ① アフリカ系アメリカ人は同じ地域に住む白人労働者に比べて明らかに多くの割合の家族が片親を欠いた状態で生活していた。甥や姪、従兄妹など核家族の範囲内のメンバーが同居している例も白人家族と比べて多く、両親のいずれとも直接の血のつながりのない養子を迎え入れている事例も多く見られた。また未婚の女性が子供を出産してその子供を育てている事例が白人家族の場合よりもはるかに多く見られた。 ② アフリカ系アメリカ人は同一地域に住む白人労働者に比べて同じ場所に住み続ける期間が短く、居住の面でより高い流動性をもって生活していた。また、雇用をみても同じ雇用者に1年以上継続して雇用されていることが確認できる人は、全体の少数にとどまった。特に女性たちの中には、農村部とダーラム市の間を季節に応じて移動しつつ生活を続けていたものが多くいたように考えられる。都市の環境は子どもをつれて子守りや女中、料理人として、あるいは洗濯婦として働く機会を多く提供していたからである。このことは、オーラルヒストリーの史料からも確認することができた。 ③ 上で指摘した2点は互いに関連していて、居住および雇用の面で高い流動性をもちながら生活していたアフリカ系アメリカ人たちは、お互いに家族や親族の間でメンバーをやり取りしながら都市の生活へ適応していったのだと考えられる。このことが夫婦別居や遠い親族との同居、養子との同居などの世帯構成の特徴を説明している。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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