2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520739
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
貴堂 嘉之 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (70262095)
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Keywords | 優生学 / 人種 / 社会改良運動 / 社会保障・福祉 / 産児調節 |
Research Abstract |
4年間の研究プロジェクトを開始した2010年度は、まず研究遂行上、必須となるアメリカの主要な優生学者・優生学施設・優生学文献のリストを作成し、あわせてアメリカ優生学運動のトランスナショナルな性格を検証する作業の基礎となる、イギリス・ドイツ・日本など各国の優生学運動のデータ収集につとめた。その成果としては、Ruth Engs編のThe Eugenics Movement:An Encyclopedia(2005)の全項目訳出があり、これを冊子のかたちでまとめた。さらに、2010年に刊行されたAhson Bashford eds,The Oxford Handbook of the History of Euge nics(2010)についても、重要項目について訳出を開始した。また、2010年度は、他国の優生学運動の研究をしている大谷誠氏(イギリス・精神薄弱者問題)、藤野豊氏(日本近代史・ハンセン病問題)、細川道久氏(カナダ・優生学運動研究、ホワイトネス研究)、水戸部由枝氏(ドイツ社会福祉、ジェンダー)らとの研究交流を持つ機会を得て、多くの知見を得た。 また、2011年3月にはカリフォルニアとニューヨークにて文献調査を行った。カリフォルニアは、全米で最も多くの断種手術が実施された州であり、その中心的機関であったHuman Betterment Foundation人間改良財団(1926-1942)とその設立者E・S・ゴズニーと主要メンバー、ポール・ポペノー、ディビッド・スター・ジョンソンらの一次史料について集中的に集めた。また、ニューヨークでは、当地で開催された国際優生学会議関連の資料を収集するとともに、コールド・スプリング・ハーバー施設やアメリカ優生学協会関連の資料、産児調節運動の指導者、マーガレット・サンガー関連の資料の収集につとめた。
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