2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520739
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
貴堂 嘉之 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (70262095)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 優生学 / 人種 / 社会改良運動 / 社会保障・福祉 / 産児調節 |
Research Abstract |
4年間の研究プロジェクトの3年目にあたる2012年度は、研究遂行上、必須となるアメリカの主要な優生学者・優生学施設に関する史料を収集するとともに、分析対象となるイギリス・ドイツ・日本など各国の優生学運動のデータ集めを引き続き進めた。 具体的には本年は、アメリカ優生学運動の四局面の検証作業のうち、第三期のアメリカ優生学運動の成熟期(1920年代~1934年)を重点的に検証した。第二回国際優生学会議がアメリカで開かれるなど第一次世界大戦後には、国際的な優生学運動を牽引する立場にたったアメリカが、国内では優生立法を制度化し、断種手術の数を急増させていく同時代の実態を実証的に考察し、あわせてこのアメリカにおける優生学運動がヨーロッパ、とりわけナチス・ドイツの社会政策にいかなる影響を与えたのかを考察した。そのため、2013年3月に海外調査を実施し、アメリカのニューヨークとフィラデルフィアの文書館に所蔵されている史資料を使って、1)1921年の第二回国際優生学会議と1932年の第三回国際優生学会議(いずれもニューヨーク開催)の詳細分析、2)1924年移民法の政策決定過程における優生学者の役割について、3)各州における優生学断種の実態分析、4)アメリカの優生学者とドイツ優生学者の人的交流史、5)ナチス・ドイツ政権誕生によるアメリカ優生学団体内部における軋轢(一部)、などを中心的課題にすえて分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメリカ優生学運動を四期に分けて検証する計画は、予定通り、三期目までの分析をほぼ終えた。しかし、史料収集しそれを分析するなかで、まだカリフォルニアの断種事例の分析に必要な資料調査がカリフォルニア州で実施できていないこと、それから国際的な優生学運動を射程に入れるなかで、どうしても戦間期のドイツ側の史料を収集する必要もでてきており、これらをどう克服するかが課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は、最終年度になるので、できる限り第四期の分析を早く進め、すべての期間の研究成果を総括して、アメリカ優生学運動の世界史的意義を考察できるよう試みる。
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