2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520739
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
貴堂 嘉之 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (70262095)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 優生学 / 断種 / ホロコースト / 産児調節 |
Research Abstract |
4年間の研究プロジェクトの最終年度にあたる2013年度は、アメリカ優生学運動の世界史的意義を考察する研究目的で提示した運動史上の四区分(①萌芽期:19世紀末~20世紀初頭、②発展期:1910年代~1920年代、③成熟期:1920年代~1934年頃、④衰退期:1934年頃~戦後初期)のうち、第四期のアメリカ優生学運動の衰退期を重点的に検証した。優生学運動はすでに第三期において変質を開始し、一部は人口研究へと方向転換し、一部は断種法や婚前結婚検査法、移民制限法の制定へと奔走した。この第四期には、マディソン・グラントやロスロップ・スタッダードらがナチス・ドイツの優生学的断種計画を支援したことから、カーネギー財団などが資金援助をやめ、1930年代後半には有力な優生学団体のいくつかが閉鎖に追い込まれた。この第四期におけるドイツの科学者とアメリカの優生学者及び優生学団体との関係については、2014年3月のアメリカ哲学協会および議会図書館での史料調査により、その交流、組織内部での意見対立、内部崩壊の過程の詳細が解明された。世界史的に優生学がナチスの諸計画によりいかなる変質を迫られたのか、その総括をするにはさらなるドイツ側の調査、国際優生学運動の検証が必要になるが、第一期から第四期までの研究成果を総括して、アメリカ優生学運動の世界史的意義については多くの知見を得ることができた。第二次世界大戦の終焉から冷戦初期にかけて息を吹き返し、したたかにアメリカ社会で生き延びていった優生学者らの活動も調査により明らかになり、鍵となるハリー・ラフリンら彼らが誕生させた「結婚カウンセリング(marriage counseling)」や戦後もアメリカ社会で実践された断種の実態など、新たな課題もみえてきた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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