2010 Fiscal Year Annual Research Report
中・近世ブルゴーニュ公宮廷の結婚をめぐる総合的研究
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22520748
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中堀 博司 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (90423558)
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Keywords | 宮廷 / 結婚 / ブルゴーニュ / フランス |
Research Abstract |
本研究は、14世紀から15世紀にかけての四代に亘るヴァロワ家ブルゴーニュ公の宮廷を対象として、同宮廷における結婚およびそこから派生した対内的・対外的諸問題を検討しながら、大西洋からバルト海までに及ぶ北方海域沿岸諸国を申心とした政治的、経済的、文化的な接触・交流を明らかにすることを目指すものである。 初年度の本年度には、ブルゴーニュ公および公位継承予定者の婚姻情報を集積することから開始した。四代のブルゴーニュ公については初代・第2代公はそれぞれ1件、第3代・第4代公はそれぞれ3件の計8件の結婚が行われている。公妃ないしはのちに公妃となる新婦の主な出身地は、ドイツ、ポルトガル、イギリスであるが、フランス王女(2件)やフランス諸侯の娘(フランドル伯女含め3件)との結婚が必ずしも成功裏ではないにせよ行われたことも見逃せない。公ないしは公位継承予定者(8件)あるいはその近親者(十数件)の個々の結婚の詳細が常に明らかになる訳でもないことも判明した。 また、初代公から三代に及んで公の宮廷に深く関与した人物について追跡できた。結婚と相続の問題が公の遺言の内容および執行に密接に絡んでいることや、結婚の前提となる婚約およびその後の式場設定までもさらに詳細な追跡が必要なこともわかった。文献資料の収集に関しては、フランスおよびベルギーに関するものを中心にかなり探索することができたと考えている。さらに、公の周辺には尚書を筆頭とする司教(ないしはのちに司教となる聖職者)が常に存在し、婚姻をも含めた公家の冠婚葬祭において極めて重要な役割を果たしていることが判明し、教会と信仰にかかわる諸問題にも視野を広げて追跡を行った。
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