2011 Fiscal Year Annual Research Report
中・近世ブルゴーニュ公宮廷の結婚をめぐる総合的研究
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22520748
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中堀 博司 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (90423558)
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Keywords | 宮廷 / 結婚 / ブルゴーニュ / フランス |
Research Abstract |
本研究は、14世紀から15世紀にかけての四代に亘るヴァロワ家ブルゴーニュ公の宮廷を対象として、同宮廷における結婚およびそこから派生した対内的・対外的諸問題を検討しながら、大西洋からバルト海までに及ぶ北方海域沿岸諸国を中心とした政治的、経済的、文化的な接触・交流を明らかにすることを目指すものである。 2年目の本年度には、初年度に続いて関連する研究二次文献や一次史料を収集し、婚姻情報にかかわる基礎データをさらに集積することができた。特に一次史料については、婚姻および相続にかかわる未刊行史料、なかでも新公即位に関する公および公妃による重要な宣誓文書を入手することができた。この史料収集を通じて、金羊毛騎士団の本拠たるディジョン・ブルゴーニュ公邸附設サント・シャペルの重要性が派生的問題として浮上した。サント・シャペルは、ブルゴーニュ公が即位時に行うディジョン入市儀礼の最終局面の場であり、新公のみならず新公妃も原則的にここで宣誓を行った。この宣誓に関する文書は系統的に伝来しているにもかかわらずこれまで必ずしも注目されてこなかったものである。公家の婚姻と金羊毛騎士団の接点にサント・シャペルが存在し、そのサント・シャペルの縁起はカペ家ブルゴーニュ公治世期の十字軍遠征にある。 これらを含め、ブルゴーニュ公の結婚に至る背景・経緯、新郎・新婦両家の交流、婚儀の様相などの研究動向調査から理解が遅れている事例を把握することができた。また、ブルゴーニュ公のみならず、公の親族や家臣に関しても焦点を絞って重点的に検討すべき事例の決定にある程度目途をつけることもできた。なお、関係資料については、宮廷や婚儀に関する図像資料をさらに収集する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
婚姻情報にかかわる文献資料収集に若干困難があったことと、網の目のように張り巡らされた婚姻関係の理解が必ずしも容易でなかったことが理由であるが、少なからず重要な派生的問題を掴めてきたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度となるため、これまで集めてきた婚姻情報から特に第3代および第4代ブルゴーニュ公の治世を中心とした数件に焦点を絞って検討を行う。計画に記してきたように結婚をめぐる重要な派生的問題をも積極的に解明していく予定である。 最終的には、ブルゴーニュ公宮廷における結婚をめぐる包括的な研究調査から、同宮廷を基軸とする外交面での国際的なネットワークを浮彫にするとともに、内政面での外来の新婦の役割と統治のネットワークとを、公宮廷に集う人間を通して解明することを目指す。
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Research Products
(2 results)