2012 Fiscal Year Annual Research Report
中・近世ブルゴーニュ公宮廷の結婚をめぐる総合的研究
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22520748
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中堀 博司 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (90423558)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 宮廷 / 結婚 / ブルゴーニュ / フランス |
Research Abstract |
本研究の目的は、中・近世ヨーロッパ社会において政治的なコミュニケーションの結節点であった宮廷を取り上げ、そこで展開された結婚の分析を通じて、ヨーロッパ的な政治秩序と多元性を歴史的に考察することにある。具体的な対象は、14・15世紀における四代に亘るヴァロワ家ブルゴーニュ公の宮廷である。最終年度の平成24年度には、第3代および第4代ブルゴーニュ公の治世において、北方海域および大西洋、さらには地中海方面への対外関係の広がりを最も顕著に示す、イベリア半島の海洋帝国ポルトガル王家との婚姻を中心に検討を行った。とりわけ、同公国最盛期を築いた第3代公フィリップ・ル・ボンの甥アドルフ・ド・クレーヴと、同公妃でポルトガル王女であるイザベルの姪ベアトリス・ド・コインブルの結婚は、当該期ブルゴーニュ公家の婚姻政策における象徴的な事例であり、この婚姻を軸にブルゴーニュ公家が織り成す姻戚関係のネットワークを明らかにした。他方、独仏間に南北に分断された形で領土を有するブルゴーニュ公国において北部の低地地方の政治的比重が増すなかで、宮廷に附設された金羊毛騎士団にも注目した。同騎士団は公フィリップのイザベルとの結婚の際に創設され、対内的には公国各地の有力騎士を糾合する一方で、対外的には婚姻関係を結んだ王侯貴族を騎士団に加入させ、婚姻政策の補完的役割を果たした。こうしてブルゴーニュ公家の姻戚関係のネットワークは強化されたのである。また、その本拠は同公家の根拠地ブルゴーニュ公領の首都ディジョンにあるサント・シャペル(=「聖礼拝堂」)とされた。この教会は、歴代諸公が即位時に行うディジョン入市儀礼の最終局面の場であり、新公ならびに新公妃はここで必ず宣誓を行わねばならなかった。まさにサント・シャペルこそが、十字軍理念に基づく騎士団と姻戚関係のネットワークの要としてブルゴーニュ公国の精神的支柱となったのである。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)