2010 Fiscal Year Annual Research Report
「満洲国」におけるロシア人コサック社会の構造:農村部と中央組織の相互作用
Project/Area Number |
22520754
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
伊賀上 菜穂 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (10346140)
|
Keywords | 満洲国 / ロシア / コサック(カザーク) / 移住 / ディアスポラ / 満蒙開拓 / 呼倫貝爾 / 三河 |
Research Abstract |
平成22(2010)年度は三河地方コサック農村に関する日本語資料の収集と分析・発表を行うとともに、コサック系ディアスポラに関するロシア語資料の収集を行った。 三河地方コサック農村については、日本語資料に現れる日本人の三河コサック観、および日本人とコサックの関係を中心に考察した。これにより三河地方コサックに関する日本語刊行資料の全体的傾向を把握することができた。その結果は2010年7月にストックホルムで開催された国際中東欧研究学会において、パネル「Cultural Heritage of Russian Emigres in Asia」のなかで口頭報告した(報告言語はロシア語)。また研究代表者が編集協力している雑誌『セーヴェル』(ハルビン・ウラジオストクを語る会)にも論文(資料一覧を含む)を掲載した。 ロシア語資料の収集はプラハの国立図書館附属スラヴ図書館、およびロシアのハバロフスク地方国立文書館、同ハバロフスク地方図書館で実施した。文書館では同館保存の白系露人事務局資料を閲覧した。またスラヴ図書館では『極東のコサック』『東方の光』『協和会報』など、満洲国内外で発行された当時の雑誌や新聞から関連記事を収集した。ロシア語刊行物からは、日本語刊行資料にほとんど登場しないコサックの政治組織、および外国組織との関係を知ることができた。現在はロシア語資料を分析することで、協和会、特務機関に代表される日本とコサック中央組織との関係、およびコサック中央組織と三河地方に代表される地方組織の関係を調査中である。
|