2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520769
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 一夫 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (60174207)
|
Keywords | 上馬石貝塚 / 弥生の実年代 / 遼東半島 / 土器編年 / 石器の使用痕 / 鞴羽口 |
Research Abstract |
1941年に調査された上馬石貝塚は、A~D地点に別れて調査されているが、本年度はA・C・D地点の土器・石器の実測をほぼ終了することができた。特に、遺物量の多いC地点は大きく3期に土器群が別れることが判明し、本貝塚の基準資料になることが判明した。さらに上層の遺物は遼寧式銅剣などの青銅器時代のものであることが明確となった。 整理調査と併行し、8月には中国社会科学院考古研究所の二人の研究員を招聘し、資料を実見し意見を聞かせてもらうとともに、当該地域の発掘調査の最新成果を発表してもらい、本貝塚の分析に大いに参考となった。 また、連携研究員である弘前大学の上條信彦専任講師を招聘し、石器の使用痕分析を担当してもらった。これにより、出土した石鎌などが穀物収穫具として利用されていたことが判明し、少なくとも青銅器時代には農耕活動が盛んであったことが証明された。 さらに、3月には大長山島の上馬石貝塚を戦後初めて訪問することができ、A~D地点の4貝塚が現存することが判明した。また、当時の発掘日誌と照らし合わせることにより、発掘経過をよく理解することができた。また、周辺の貝塚や先史時代遺跡を踏査し、遺跡立地の時期的変遷を確かめることができた。これらの踏査は、1941年の日本学術振興会による上馬石貝塚調査時においても、調査終了後に為されており、それとの対比をすることにより、当時の踏査の経緯やその成果を理解することができた。 以上のように、本研究の初年度は計画通りに事業や研究が遂行された。
|