2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520770
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
橋本 達也 鹿児島大学, 総合研究博物館, 准教授 (20274269)
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Keywords | 考古学 / 古墳時代 / 鉄器 / 九州南部 |
Research Abstract |
本研究は九州南部における古墳時代鉄器の基礎的研究を主題としている。南の古墳築造境界領域である九州南部では前方後円墳や当地域独自の墓制である地下式横穴墓・板石積石棺墓から副葬品として良好な遺存状況の鉄器が多量に出土しているが、これまで資料に即した基礎的研究は十分でなく、その実態は明確でない。 本研究では基礎調査から始め、重要資料に関する情報の再検討・整理を通じて副葬鉄器と墓制からみた多元的な古墳時代史像の展開を明らかにしようと取り組んでいる。 平成22年度には古墳時代鉄器出土資料の調査を行い、図面作成や写真撮影、X線写真撮影、顕微鏡観察、成分分析といった基礎データの収集をはじめた。また次年度以降、調査研究が効率的に進められるように予備的調査として、各資料の遺存状況、保管状況、閲覧手続き等の情報収集を進めている。 具体的にはえびの市島内地下式横穴墓群、都城市市内出土資料、肝属郡肝付町北後田地下式横穴墓群、曽於郡大崎町神領10号墳などを対象として調査を進めている。これらの得られた情報等は本研究期間内に公表できるように整理を進めている。 また、九州南部の特質を明確にするために近畿など他地域の古墳時代鉄器資料との比較研究を進めている。それによって、古墳時代の生産流通・地域間交流・墓制の研究を統合的に進め、地域の側から日本列島国家形成期における境界領域の構造とその変遷に焦点を当てようと試みている。
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