2011 Fiscal Year Annual Research Report
人物造形品の集成と分析にもとづく弥生時代の儀礼と社会組織に対する基礎的研究
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22520773
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
設楽 博己 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70206093)
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Keywords | 人物造形品 / 土偶形容器 / 土偶 / 顔面付土器 / 弥生時代 / イレズ |
Research Abstract |
今年度は、西日本で出土した弥生時代の人物造形品である、土偶・木偶・分銅形土製品などを、発掘調査報告書や雑誌論文、図録などから補助業務によって集成し、パソコンに画像データおよび文字情報データを入力した。この作業によって、およそ120件の遺物を集成することができた。また、先年度おこなった東日本弥生時代の土偶形容器、顔面付土器、土偶の集成の補足をおこない、およそ25点を追加した。調査旅行として、長野県上田・大町方面や愛知県田原市などに出向き、弥生時代の土偶や顔面付土器の新しい資料の実測をおこない資料収集をおこなった。これらは、図面や写真をスケールを統一して画像データとして入力し、報告書に備えた。この作業を通じて、土偶形容器の土偶模倣品の存在が明らかになり、弥生時代における中部地方の呪術・祭祀体系の一端を明らかにすることができた。研究成果の報告としては、出雲弥生の森博物館の企画展示『弥生人の姿』において、縄文~古墳時代のイレズミに関する本研究の成果を発表し、この研究の重要性を踏まえて一般の方々に分かりやすく伝えた。また、河出書房新社から出版された学術誌『列島の考古学』に、弥生時代の土偶形容器や顔面付土器に関する研究成果の一端を披露した。朝鮮半島と中国の弥生時代併行期における人物造形品については、今年度に収集の予定であったが、報告書などにあたって見当はつけたものの、具体的にデータ化するには至らず、来年度の作業に回した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先年度の当初計画は、弥生時代の土偶と土偶形容器、顔面付土器を悉皆的に集成することにあったが、それはほぼ完成することができた。ただ、土偶の一部に集成漏れがあった。また、中国・朝鮮半島の人物造形品の集成があまり進まなかったので、課題を残した。
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Strategy for Future Research Activity |
先年度に課題となった、中国・朝鮮半島の人物造形品の集成を今年度も継続して進める。また、今年度は最終年度になるので、これまでの集成を一覧として比較検討し、漏れなどがないかチェックする。また、報告書の出版に向けて、集成した図面に墨入れをするなどして体裁を整えたい。研究の面では、顔面付土器と西日本の人物造形品についての研究が進んでいるので、これらについて研究雑誌に発表する予定である。
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Research Products
(2 results)