2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520781
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Research Institution | 公益財団法人泉屋博古館 |
Principal Investigator |
廣川 守 公益財団法人泉屋博古館, 学芸課, 学芸員 (30565586)
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Keywords | 高精細画像 / 殷周青銅器 / 渦巻状地文 / 二重螺旋 |
Research Abstract |
殷時代青銅器を中心に68点の撮影を実施し、計1020カットの高精細画像を取得した。取得画像の整理をすすめ、渦巻状地文細部の施文状況を中心に観察をおこなった。 地文は、凸頂部をほぼ均一な太さで面取しているものが大半を占めていることがわかった。また地文は主文様の隙間に充填されるため、その形態は隙間の大きさや形状に大きく影響を受ける。隙間の大きさや形状にかかわらず、渦の大きさを変えることによって、変形を最小限にとどめている例と、隙間の形状によって渦を大きく変形させる例とを確認することができた。 また渦巻状地文と主文様との関係を確認した。主文様先端から伸びる細凸線が渦を巻き、さらに渦の中心で折り返して外側に向かう二重螺旋になっている例を多数確認した。逆に主文様先端が全く地文に続かない例も爵など特定の器種で確認した。さらに長江流域で製作されたと推測している地方型青銅器の多くが主文様と地文とが完全に分離していることを確認することができた。 上記観察検討の結果、殷時代後期の青銅器のなかで、渦巻地文の構成について数種類の構成方法が併存している可能性を推測した。このような地文構成による分類が、従来研究対象としてきた主文様による分類とどのように関連するのか、さらに構成の違いが製作集団の違いを反映するのかなどを重要な検討課題として抽出することが出来た。
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