2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520781
|
Research Institution | 公益財団法人泉屋博古館 |
Principal Investigator |
廣川 守 公益財団法人泉屋博古館, その他部局等, その他 (30565586)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 高精細画像 / 殷周青銅器 / 文様施文技法 / 直接施文 / 模型施文 / 渦文表現 / 螺旋形状 |
Research Abstract |
取得した高精細画像をもとに、殷周青銅器文様細部の検討を行い、とくに二里岡期から西周前半期の文様について、以下の成果を得ることが出来た。 施文方法:殷代の主要器種について、施文方法の違いを抽出し、それが時期差を反映していることを明らかにした。すなわち、二里岡期から殷墟期初頭にはすべて鋳型直接施文法が採用されており、殷墟一期以降、模型施文法との併用が導入されることにより新しい文様デザインが確立し、さらに二期から三期にかけて、器種や寸法によって施文方法にヴァリエーションが出現する、という変遷状況を明らかにした。 地文渦文の表現:殷墟期を中心に西周前半期に発達した地文渦文について、その細部の表現を分析し、地域差及び時期差を明らかにした。すなわち殷墟期の殷墟系と華中系とを比較すると、華中系は渦線が細く、渦全体が不均一であることがわかった。さらに時期ごとに検証を加えると、殷墟期では主文と地文とが分離するタイプと主文先端から凸線が伸びてそのまま二重螺旋の地文渦を形成する連結タイプの2種類が確認でき、殷墟二期では前者の分離タイプが優勢であったのが、殷墟三期以降、とくに浮彫状主文において連結タイプが優勢になり、西周期にはいると連結タイプに収束する。また殷墟期の渦表現と西周期の渦表現とを比較すると、西周期の渦は、渦線が細く、その立ち上がり(溝の深さ)も浅いことがわかった。西周期は渦構造が画一的で、渦文自体が形骸化していったことを示すものと推測した。 以上、これまでの殷周青銅器文様研究でほとんど採りあげられなかった文様細部の観察と分析を通して、青銅器製作系譜を検討するための時期差・地域差を抽出することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|