2010 Fiscal Year Annual Research Report
植民地台湾における心象地理の形成―植民地主義の展開とその帰結―
Project/Area Number |
22520785
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
葉 [せいい] 茨城大学, 人文学部, 准教授 (30242332)
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Keywords | 植民地 / 台湾 / 地理教育 / アイデンティティ / ポストコロニアル |
Research Abstract |
○概要:本研究「植民地台湾における心象地理の形成」において平成22年度に実施できず繰越した研究項目は、台湾の国立中央図書館台湾分館においてデータベース化された植民地期の地図(一般図・主題図を含め)をダウンロードし、整理・分析することであった。 ○具体的内容:2011年9月22日~9月30日まで台北に調査に出かけ、国立中央図書館台湾分館、国立台湾師範大学地理学系に所蔵されている日本植民地時代に発行された地図類の収集にあたった。国立中央図書館ではこれらの古地図をデータベース化する作業を進めており、昨年度入手できなかったものを含め、現段階で入手できるものについては全て入手することができた。国立台湾師範大学では教育用の地図類の収集が充実しており、それらの地図帳を閲覧、一部は写真撮影することにより入手した。 ○意義および重要性:植民地期の地図類は老朽化が進み、従来利用が困難な状況であったが、近年のデータベース化により資料として利用することがきわめて便利になり、これまで限定されていた地図の活用が可能になった。 心象地理の形成を考察するにあたって、地図の入手はきわめて肝要である。なぜなら植民地期台湾において、世界観やアジア観あるいは日本や台湾への‘まなざし’を形成するにあたっての効果的な視覚素材となり、そこからイメージが形成されるからである。地図的データの精確性よりもむしろ、「日本」としての領土が視覚的イメージとして表象されていることが、地図利用者に与えるイメージは重要な役割を果たすと考える。
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