2011 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル観光時代における日本のスキーリゾートの変容に関する研究
Project/Area Number |
22520786
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
呉羽 正昭 筑波大学, 生命環境系, 教授 (50263918)
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Keywords | スキーリゾート / スキー場 / スキー観光 / ツーリズム / 国際観光 / インバウンド観光 / 地域性 / 地域資源 |
Research Abstract |
本研究は、日本のスキーリゾートが、スキー観光の衰退という時代背景のもとで、さらにはグローバル観光時代のもとで、どのようなプロセスで変化しているのかを、整理・分析しようというものである。同時に、この結果と諸外国との例を比較検討し、日本におけるスキーリゾートにとって、今後の持続可能な発展のためにはいかなる原動力が重要となるのかを考える。 平成23年度は、まず、北海道倶知安町においてフィールドワークを実施した。そこでは、外国人向けのさまざまな施設、とくに宿泊施設が旧ペンション分譲地の空き地に「雨後の筍」のごとく立地していることを明らかにした。また、宿泊施設はアパート風で自炊施設を備えたコンドミニアムが中心で、建物景観は機能重視の簡素なものである点に特徴が見出される。スキー場内の諸施設においても、外国人、とくにオーストラリア人向けのさまざまなサービスが提供されていることが示された。次いで、長野県白馬村における土地利用調査の結果では、八方地区の和田野において、外国人向けの宿泊施設が急速に展開していることが明らかになった。こうした事実は、八方尾根スキー場隣接する旧細野地区において旅館や民宿の施設更新が遅々として進まないことと対照的であり、外国人をターゲットとしたリゾート整備の重要性が把握された。最後に、オーストリア・アルプスにおける著名なスキーリゾートのひとつであるゼルデンにおいて、土地利用調査を実施した。その結果、過去約20年間に宿泊施設の規模拡大や質の向上がみられ、安定的な顧客の存在や消費嗜好の高級化と相まってスキーリゾートが発展している。同時に、主要道路沿いにはスポーツ店をはじめとする商業施設が集積していることも解明された。日本のスキーリゾートと異なるこうした諸点は、スキーヤーの行動パターンと密接に関係しているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールドワークを順調に実施しているため、日本におけるスキーリゾート変容の実態、とくに土地利用と景観の変化が把握されてきている。さらに、オーストリアのスキーリゾートにおいてフィールドワークを実施し、日本のそれとの比較・検討をへて、日本のスキーリゾート変容の位置づけが明確になりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、日本のスキーリゾートにおいて、外国人スキー客向けの施設やサービスが展開することに基づいて、リゾートという地域全体がどのような特性を有するのか、またどのように変化したのかを明確にする。第2に、オーストリアのスキーリゾートにおいて、関係資料の収集や現地での聞き取り調査によって、発展の傾向やその要因を解明する。これら2つの分析を統合することによって、日本におけるスキーリゾートの変遷を明確にし、今後の持続可能な発展のための方策を考える。
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