2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本の農村における人口の質的変化とルーラル・ジェントリフィケーションの進展
Project/Area Number |
22520788
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
山本 充 埼玉大学, 教養学部, 教授 (60230588)
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Keywords | 農村居 / ルーラル・ジェントリフィケーション / アメニティ・マイグレーション |
Research Abstract |
日本における農村居住とルーラルジェントリフィケーションを理解する上で有効であることから、ヨーロッパ、とりわけドイツにおけるその動向を把握することを行った。ドイツにおいては、農村から都市への人口移動と共に、農村集落中心部から集落の外への人口移動が進展し、農村中心部の人口減少と廃屋の増加が問題となる地域があることが明らかとなった。そこでは、都市からの新規流入者に対する改築・新築への助成策がとられ、実際に助成を受けて流入する若年層がいるなど成果が上がっている。これらは都市へ通勤可能な農村地帯にみられる現象であるが、一方で、大都市圏から離れた周辺的な、とりわけ風光明媚な観光地である農山村で人口の流入がみられる。これは、都市郊外とは異なる理由により、異なる集団によって生じていると考えられ、アメニティ・マイグレーションとして理解されていることがわかった。 ヨーロッパにおけるこうした都市近郊と周辺部との人口動向を踏まえた上で、埼玉県、長野県、石川県を例として、農村の人口変動とその影響を評価することを試みた。ヨーロッパのケースと同様に、都市近郊の通勤可能な農村地域と、周辺農山村地域において、同様に人口流入がみられる地域においても、農村を居住地域として選択しているとはいえ、その選択の理由や人口の質において差違がみられ、したがって、それぞれの地域において、流入人口が農村地域に与えるインパクトも異なることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の概念的枠組みについて既存研究に基づいて整理し、かつ基本的なデータを入手することができたが、そのデータの分析と現地における調査がまだ十分に行われていない。
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Strategy for Future Research Activity |
入手困難な人口移動データが利用可能となったので、その分析をすることで、農村人口移動の実態解明をさらにすすめ、また、それにもとづく現地での事例調査を行う予定である。
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