2011 Fiscal Year Annual Research Report
移動距離の生涯変動に関するモデル化と比較分析に基づいた空間行動理論の確立
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22520790
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉浦 和子 京都大学, 文学研究科, 教授 (50155115)
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Keywords | 移動距離 / 生涯変動 / 位相周期 / 臨界点 / オーストラリア / センサス |
Research Abstract |
平成23年度は、人口移動データを用いた備分析を中心に研究を遂行した: (1)平成22年度に入手したオーストラリアの人口移動データ(1991年センサス、2001年・2006年センサス補完分)の整形作業を継続。(2)これまで収集したすべての年次のデータに関して、移動距離の詳細な分析を進めた。オーストラリアのすべての統計地域(Statistical District)間、ならびに、各州の州都(キャンベラ、シドニー、メルボルン、パース、アデレイド、ホバート、ダーウィン、ブリスベーン)内部の地方統計区(Local Statistical Area)間について、センサス調査1年前もしくは5年前の住所からセンサス時への住所への移動について、男女別ならびに年齢階級別(10階級に区分)という小集団ごとに集計した移動データ(Digital Files)を分析している。(3)平成23年度の主要な分析テーマは、オーストラリアおよび福井市のデータを用いて、(1)年齢による移動距離の変化リズムの析出、(2)移動スケジュール(移動率の生涯変動)の関数との対比をもとした移動距離の生涯リズム(位相周期)の関数特定、(3)空間範域の広狭による変化リズムの相違および相違が顕著になる臨界点の特定をすることであった。(4)移動距離の近距離収れん性とランダム性の傾向が、男女、基点とする地域(都市圏)、また、年齢集団の間で一定であるか、あるいは、どのように異なるかの検討に加えて、経年による変化の有無を調査した。(5)移動距離に関して、都市内といった相対的に狭い範域での生涯リズムと全国といった広い範域での生涯リズムが異なるとすれば、その意味するものは何かについて検討した。(6)移動距離の変化リズムが発生する社会的・地域的背景や諸条件を検討した。とくに、個人移動と世帯移動、社会経済的・政治的な制約、災害避難や難民などの強いられた移動と自由意志による移動などの相違に注目した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オーストラリア統計局では集計計算ごとに数値のランダム処理を施していることにより、同一年次のセンサスであっても、年入手時期が異なるデータでは、微妙に数値が齟齬する場合があることが判明した。問題を解決した上で、データファイルを作成するのに、当初計画したよりもやや時間と労力を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
若干の作業の遅れを挽回して、データファイルを完成させる。分析単位地区や年齢集団を細分して分析するよりも、まず、全体的な傾向の把握のための分析を優先する。
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