2013 Fiscal Year Annual Research Report
移動距離の生涯変動に関するモデル化と比較分析に基づいた空間行動理論の確立
Project/Area Number |
22520790
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉浦 和子 京都大学, 文学研究科, 教授 (50155115)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オーストラリア / 移動距離 / 年齢進行 / 合成関数 / 生活圏 |
Research Abstract |
平成25年度は、2011年オーストラリアセンサスの人口移動データの入手と年齢進行による人口移動距離の推移パターンの分析を中心に研究を遂行した。(1)オーストラリア統計局により2011年センサスより新たに集計単位として設定された地区レベルによる人口移動データを入手した。人口移動データのうち、オーストラリアのすべての統計地域(レベルSA4)間、ならびに、各州の州都内部の地方統計区(レベルSA2)間について、センサス調査1年前の住所からセンサス時の住所への移動について、男女別ならびに年齢階級別(15階級に区分)という小集団ごとに集計したのデータを入手した。これらのデータの整形および2011年以前のデータとの統合を行う。(2)年齢進行と移動の空間行動に関する分析に関して、以下の論点を整理した。(a)移動率の推移を説明変数とするmigration scheduleに対して、移動距離を被説明変数とするモデルを設定する。(b)年齢と移動動機、および移動動機と移動タイプ(近距離移動/長距離移動、同一生活圏内移動/異なる生活圏間移動)については、一定の対応関係が認められている。年齢進行と移動距離とについては、移動動機を仲介項とする関係性の存在が推測できる。(c)移動動機により移動距離が異なる傾向があることや、近距離移動と遠距離移動では距離減衰関数の形態が異なることなどから、空間スケールの規模によって、人間の行動特性が異なると推測できる。(d)都市内移動と都市の境界を越える移動とにわけて、年齢進行と移動距離の関係を分析したところ、きわめて良好な関数適合の結果が得られた。(e)いずれも、並行する複数の変動プロセスの合成関数であることが特徴である。(f)合成変動関数の相違度を生活圏の空間的領域画定の指標として利用できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オーストラリアセンサスの新旧の集計地区単位による人口移動データの入手が完了し、本プロジェクトで取得を予定していた資料がそろった。移動距離モデル分析と考察をすすめ、論文作成にとりかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、本プロジェクトの最終年度にあたるため、研究成果の総括ととりまとめ、論文作成を中心に研究計画を遂行する。
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