2012 Fiscal Year Annual Research Report
新興国におけるITサービス業の産業集積地域の形成過程と構造変化に関する比較研究
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22520793
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
北川 博史 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (20270994)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ITサービス業 / インド / 中国 / 産業集積 / 空間構造 |
Research Abstract |
本年度は,新興国におけるITサービス業の集積過程を人的資源の動向から把握するために,インドおよび中国へ進出している日本国内のITサービス業企業(以下,日系ITサービス業企業とする)において,現地での技術者採用の動向や採用方法,その経緯や課題などについて実態調査を行うことにつとめた。その結果,いくつかの企業において,ITサービス業技術者のライフヒストリーに注目して聞き取り調査を行うことが可能であった。こうしたライフヒストリー分析により,ローカルな人的資源の蓄積過程を企業レベルにおいて把握することが可能となった。なお,今年度収集した資料の分析の結果,以下の点について明らかとなった。すなわち,インドのITサービス業は経済自由化・改革開放以降,輸出指向型産業として急成長を遂げ,グローバルスケールにおいても重要な地位を確固たるものとしてきた。輸出を通じて成長したITサービス業は,インド全体の貿易構造にも影響を及ぼすまでの規模に成長している。一方、中国においてはグローバルスケールでの確固たる地位は気づくに至っていないが、東アジアにおける拠点的なITサービス業集積を形成している。ITサービス業の発展とそれによってもたらされる当該産業の空間構造の形成と再編に関して,大都市地域への立地指向性や良質な労働市場を背景として産業集積地域を形成するといった当該産業の有する特性だけでなく,ITサービスの輸出を促進させる各国政府による産業政策の影響も無視できないことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新興国のうち,インドにおけるITサービス業の産業集積地域の形成と構造変化に関しては概ね資料の収集と分析が終了し,得られた知見をまとめる段階にあるが、中国に関しては十分とはいえない。今年度中に遅れを取り戻したい。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画の通り,新興国におけるITサービス業の産業集積地域の形成と構造変化に関する分析とまとめを行う予定である。
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Research Products
(1 results)