2010 Fiscal Year Annual Research Report
21世紀先進資本主義国における都市再生の新動向に関する地理学的研究
Project/Area Number |
22520797
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
藤塚 吉浩 高知大学, 教育研究部・人文社会科学系, 准教授 (70274347)
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Keywords | ジェントリフィケーション / 都市再生 / 21世紀 / グローバリゼーション / 世界都市 / 地理学 / 新自由主義 / 新建設のジェントリフィケーション |
Research Abstract |
平成22年度には、800本を超えるジェントリフィケーションに関する論文の研究動向と対象都市の研究成果に関する展望を行った。1990年代半ばには、景気後退によりジェントリフィケーションが失速したため論文数は減少したが、21世紀に入り急増している。ジェントリフィケーション研究は地理学が中心的な学問分野であるが、21世紀になると都市学における研究論文が大きく増加した。地理学の論文では、ジェントリフィケーションの現象の変質や、旧社会主義国や新興工業国の都市といった発現地の世界的拡大、先進資本主義国の都市再生などに関して研究されている。 先進資本主義国の都市再生に関する研究では、その多くがロンドンやニューヨークの世界都市におけるものであった。ニューヨーク市では、これまで現象のみられなかった都心より離れた地区において現象が起こった。これは、地戸価の谷が投資の進んだ都心から投資されていない地区へと外側に移動したために起こったのである。以前に再生された地区では、より裕福なジェントリファイアーが来住しており、そのなかにはドル安の影響から相対的に安価となった資産を取得した外国人も含まれる。ジェントリフィケーションは大規模な資本と結びつき、大規模開発業者は新自由主義の政府の支援を受けて、地区全体に及ぶようになった。 ロンドンではテムズ川沿いにおける新建設のジェントリフィケーションが注目されており、それは工場跡地や放棄された土地、住宅以外の建物が取り壊されたところに新たに建設されたものである。新建設のジェントリフィケーションとは、資本の再投資と高所得者による地域の社会的上向化、景観の変化、低所得の周辺住民の直接的・間接的な立ち退きを伴うものである。新建設のジェントリフィケーションについては、東京における研究成果もあり、平成23年度以降において事例研究を行う計画である。
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